100職種の年収一覧(1-50)
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100職種の年収一覧(1-50)

2010年秋、主要職種の給料は一面安の様相を呈しており、まさに給料氷河期時代に突入したかのような状況だ。高所得者層の中で、04年と比較して最も大きな給料の減少に見舞われた職種は航空機操縦士(パイロット)である。平均678万円の給与減という大幅下落に見舞われた。パイロットはたった5年程度の間にビル清掃員の給与換算で約3人分の所得を失ったことになる。中間所得者層では、製造業従事者の給与所得の下落が大きい。自動車組立工や鋳物工などは100万円前後の賃金下落を経験しており、不況の影響を真正面から受けた形となっている。また、低所得者層では、200万円台の所得にもかかわらず、20万円以上の給料ダウンを経験している層も少なくない。高所得者層から低所得者層まで等しく、お財布の中身がお寒い状況となっている。

しかし、ほぼすべての職業が厳しい給料環境に置かれている中で、着実に儲けを出している職種も存在している。その代表格として、税理士や弁護士といった士業を挙げることができる。

100職種の年収一覧(51-100)
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100職種の年収一覧(51-100)

「たしかに、業界に従事する人数は増えており、仕事の単価が下がってきていることは事実です。しかし、ちょっと価格を下げれば、お客さんはまだまだ大勢やってきます。法律相談への需要は十分に旺盛ですよ」

と語るのは、都内で開業している野田克典弁護士(仮名)。弁護士事務所を独立開業して数年、事務所経営を軌道に乗せて着々とスタッフを増やしている。

「今はひと昔前に流行ったクレジットカードの過払い金バブルのようなカツオの一本釣りのタイプの事案は少なくなりました。過払い金の返還に苦しめられてきた貸金業者側のビジネスモデルが変化しており、この手の案件で大きな金額を回収することが難しくなっているからです。むしろ、私は顧問料収入などで月額60万~80万円などを得る手堅い経営を心掛けています。このような安定した収入を確保しながら、1億円くらいの相続手続きに運よく出合えればポンと簡単に稼げる。多額の相続金を手にする依頼主の財布のヒモが緩いため、普段は80万円程度の請求でも、100万円超ぐらいに上乗せ請求しても気持ちよく払ってもらえます」

もともと手堅い士業ではあるものの、給料氷河期の到来を受けてさらに堅実な経営にシフトしているようだ。

※すべて雑誌掲載当時

(小原孝博、小倉和徳=撮影 編集協力=佐藤ゆみ)