最後は「分析型」。実は、この“考える人”タイプが急増しています。私が講師を始めた15年前には、2割程度だったこのタイプが、今は30~40代社員のほぼ半数を占めるほど増えました。分析型が増えるにつれ、企業の役員や人事担当者から「うちの社員は積極性が足りない」「レスポンスが悪い」「評論家的である」といった不満を聞くことも多くなりました。これはあらゆる業種業態の企業で起こっていることです。

上司にも40代を中心に分析型が多くいます。紙に記された文字や数字が大好きなタイプなので、報告する際はあらかじめメモやデータを準備し、想定される利益や損失を比較できるように説明するのがポイントです。

報告を受ける際は、部下の顔を見ず、資料をじっくり見て考えます。さまざまな角度から考察・分析するため、質問は細部におよび、時間がかかります。即決は期待できないので、午後一番に報告したのであれば「できれば、夕方までに判断をお願いします」と念を押すことを忘れてはいけません。

以上はトラブル発生時の報告ですが、大事なのはその後のフォローも同様。もし、T物産から問い合わせや確認の連絡があったら、それは状況の変化です。上司に伝え、すぐに次の一手を打たなければなりません。

最後の一手=最終報告も忘れてはなりません。上司はその後を気にしています。最終報告を怠り、上司に「どうなったのか」と聞かれるようでは、円満に解決できても、あなたの評価はガタ落ち。ですから、「おかげさまで、T物産様から了承をいただきました」と報告し、「今後は同じミスをしないよう、送信前の確認を徹底します」と前向きな姿勢を示すことが肝要です。そして、上司のアドバイスに「ありがとうございます」と応えて締める。どんなトラブルでも、その結末を“ポジティブエンド”で締めくくれば、あなたの印象はぐんと上がるはずです。

【意外と知らない!?“上司への報告”の意味と心得】

※濱田秀彦氏への取材をもとに編集部作成

▼基本的な考え方
●報告の真の意味は、「仕事の発注者に対する情報提供サービス」
●伝えることは「結果」のみならず、「進捗」「状況」も含める

▼大事なポイント
●サービスである以上、相手の希望、好みに合わせる
●相手の希望の公約数は、「結論」や「全体像」を早く知りたい。それを早く伝える

▼実践テクニック
[原則1]結論⇒理由の順で話す 例:「結論から申しますと」
[原則2]全体⇒部分の順で話す 例:「ひとことで申しますと」「〇つあります。ひとつめは」
[原則3]事実⇒意見を分けて話す 例:「事実は〇〇です。私は〇〇だと思います」

 
株式会社ヒューマンテック代表 マネジメントコンサルタント 濱田秀彦
マネジメント、コミュニケーション研修講師として、年間150回以上の講演を行う。『上司の言い分 部下の言い分』『「バカになって動く」技術』など著書多数。
 
(構成=岡村繁雄 撮影=遠藤素子)
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報告は1分以内。「いい話か」「悪い話か」を前置きする