バイト先の社長に褒められて起業を意識した
【田原】重松さんが起業されるまでのお話もお聞きしたい。学生時代からいろいろなアルバイトを経験されたそうですね。
【重松】高校生のころは山崎製パンのアルバイト、通称「山パン」でクリスマスケーキを作ったりしていました。大学でもいろいろやりましたが、なかでも長く続いたのはテレビ番組のADです。NHKの『ためしてガッテン』という番組を初期のころから5年間やっていました。
【田原】そんなにやっていたのなら、NHKに入ればよかったじゃない。
【重松】ですよね。じつは受けたけど落ちたんです(笑)。あとは、不動産会社でのアルバイトも面白かったですね。社員数人の小さな会社でしたが、社長が叩き上げの人で、帝王学を教えていただいた。私は両親が中学校の先生で、親戚にも起業家はいない。その社長に「おまえは起業に向いている」と言われて初めて自分で事業をやることを意識し始めました。
【田原】ただ、最初に入社したのはNTT東日本ですね。どうしてNTTに?
【重松】私が就活していたのは2000年ごろ。当時はこれからの時代はインターネットといわれていたし、NTTは人気ランキングでも1位でした。正直、深く考えて選んだわけではなくて……。
【田原】NTTでどんな仕事をされていたのですか。
【重松】最初は千葉の支店で営業です。当時はISDNという商材があって、SOHOなど個人のお客様に加入促進する仕事をしていました。それを2~3年やって、PRの担当に異動。法人のお客様向けのPR誌の編集長になって、好きなことをやらせてもらいました。
【田原】編集長ですか。どんな記事をつくっていたのですか。
【重松】印象に残っているのは、ZOZOTOWNを運営するスタートトゥデイの前澤友作社長へのインタビューです。当時はまだ上場前でしたが、すごい勢いで成長していました。前澤さんは自分とそんなに年齢が違わないのに、すでに事業で世の中を変えつつあった。話を聞いて、非常に刺激を受けたのを覚えています。