スピード感が違う、組織がフラット

――中国企業で働いて驚いたことは何ですか。

【バイドゥ】入社もそうでしたが、仕事を始めた後も「スピードが速い!」というのはいつも感じていますね。決済を取るときなど、日本企業と全然違います。「何日か待ってから……」といったことはなく、トントン拍子で進む。基本的にトップダウンで、上からの指示や注文には、絶対に即対応しなければならない。しかもそれが、突然やってくるんです(全員うなずく)。前職では、全員で考えて、上の人の了承を取って、決済を取って……という進め方でしたが、全然違います。突然嵐のように(命令が)やってくるので、全力で対応します。慣れるまでは時間がかかりました。

華為技術(ファーウェイ)日本株式会社広報部マネージャーの江島由賀さん

【ファーウェイ】大きな会社なんですが、組織がフラットだと感じます。私が最初に勤めたのは銀行ですが、主任、課長、係長と稟議を通していくので、物事を決めるのに1~2週間かかることもよくありました。ファーウェイでは、直接責任者と話をしてOKならそれでいい。他のメンバーはCCしておけばOKです。

前職のゲーム会社は3000人以上の従業員がいましたが、創業が1975年と新しく、ベンチャーの雰囲気がありました。ファーウェイは17万人の会社ですが、前職以上のスピード感があります。どんどん経営陣に話を上げるし、指示も来る。自分が責任を持つプロジェクトについて上から話が来た場合、それについて直属の上司にも伝えて判断を待つ……といったことはしません。最初の頃、「自分で確認すれば? その方が早いでしょ?」とよく言われました。責任者である自分が上の人に直接承認を得ることが普通で、誰も気にしませんね。

【アリババ】メールのCCに社長が気軽に入ってきますよね。あと、時には見切り発車で動くこともあって、現場は大変。「あと1週間しかないけど、それをやるんですか?」みたいなこともよくあります。

変化に弱い、安定を求める人にはおすすめしない

【バイドゥ】良くも悪くもスピード感が違う。スピードがメリットだったり、デメリットだったり。

【ファーウェイ】閉鎖的な日本企業だと“上司の俺を抜かして話をするのか?”みたいなことがありそうだけど、そんなことはまったくないですね。

――何かを決めるのに、関係者が5人いて、4人はOKだけど1人は反対……といった場面は? 日本だとそこの調整に時間がかかるが。

【全員】(全員一致で)ないですね。

【アリババ】責任者が明確になっているから、そんなことはない。”俺は知らされてない”ということもない。

――日本企業との違いといえるが、それはいいところと感じている?

【ファーウェイ】いいところですが、実際に働く立場としては急に仕事がくると大変。それも嵐のように……(苦笑)

【バイドゥ】どれを優先して何からやっていくべきか。業務のプライオリティが日々変わりますね。

【ファーウェイ】柔軟性が大切。

【アリババ】変化に弱い人、安定していたいという人には、最初は厳しいかもしれない。