「嫌われたくない」から、100%無駄な飲み会にも参加
自由回答で目立った内容のひとつに、「付き合い酒」関連がある。「上司に『ちょっと、一杯どう』とお決まりのせりふで誘われ(最近はメール)、付き合いで飲み屋へ行くと、毎度『ちょっと』ではすまなくて……」(30代男性)。
どうなるかといえば、「小遣いはなくなるし、翌日は2日酔いで仕事にならなかった」。仕事後のプライベートな時間と、翌日午前中の貴重な時間がつぶれたことになる。まあ、誰にも少なからず身に覚えのある話である。
「仕事を効率的にして、早く帰宅して、家族との時間や個人的な趣味の時間を増やしたい。ほとんどの人がそう願っています。しかし現実問題、それを実現できている人は少数派です。なぜか。自分がなんらかの理由で仕事に集中できない。まず、これがひとつ。もうひとつは第三者によって仕事の邪魔や横取りをされるケース。付き合い酒は、後者にあたります」(古川氏)
いわゆる飲みニケーションは以前に比べれば減ったと言われるが、なんだかんだと「ちょっと一杯」を週何日かする人は少なくないだろう。話す内容は、たいていはどうでもいいこと。内心、お金と時間の無駄だと思っているのに、居酒屋習慣は続いてしまう。
「実は、時間のロスだと思う半面、日常的にお酒を飲むことに本人が無意識にメリットを感じているから習慣化するのです。この場合、メリットとは、人とのつながりをより深められるということ。逆に言えば、誘いを断って人に嫌われるというデメリットを避けたいという心理が強いから、やめられないのです」(同)
興味深いのは、こうした付き合い酒(2~3次会含む)だけでなく、「週末ゴルフや、PC・スマホをつかったツイッター・フェイスブック・LINEといった仲間内での交流に多くの時間を割いてしまうのも同様に、嫌われたくない(孤立したくない)という深層心理が関わっている」(同)ことだ。
だから、人はしばしば誘いや頼まれ事を断ることができない。また、誰かからのメールや書き込みに即返信せずにはいられない。結局のところ、それは会社や仲間など所属する共同体で生きるなかで、「あいつは冷たいヤツだ」といった悪評価やレッテルを張られることを回避したいだけなのだ。