わが家の家計に稲盛和夫なら何とアドバイスするだろうか――。経営者の勉強会「盛和塾」で直々に哲学を学んでいる2人のファイナンシャル・プランナーに徹底取材した。
Q. 葬儀の場所は格式の高い寺との案内があった。香典は「相場より多く包む」「相場どおりに包む」、どちらにするか。
【ヒント】稲盛哲学では、合理性と人間性のバランスが求められる。合理的に考えれば、葬儀の会場が、格式の高い寺だろうと、町の葬祭場だろうと、葬儀には変わりなく、相場どおりに包めばいいことになる。「ただ、問題は故人に対し何らかの義理がある場合で、どうやってその義理を返すかです」(ファイナンシャル・プランナー 佐々木昭人氏)。義理は合理や道理で説明できない日本人独特の行動だが、それを行うことで、相互の関係が円滑になるところもある。盛和塾の塾生は、どのような義理の返し方をするのだろうか。
FP 佐々木昭人氏・伊藤正孝氏の回答
A. 佐々木、伊藤両氏とも、「相場どおり金額を包む」という。
「相場以上の額を持っていくのは、自分はそれだけ払えるんだという“上から目線”のところがあり、自己満足に過ぎなかったりします」(伊藤正孝氏)
ただ、相場にも幅がある。全日本冠婚葬祭互助協会が会葬者を対象に調べた「香典に関するアンケート調査(2011年度)」によると、故人との関係が「職場関係」では「5万~1000円」程度、「勤務先社員の家族」なら「1万~2000円」程度、「取引先」では「5万~3000円」程度と幅が広い。佐々木氏の場合、「迷ったら高いほうを持っていく」という。
「迷うということは、故人に対して、自分で何か特別な思いがあるわけです。とすれば、相場以上である必要はないにしても、高いほうを持っていけば、義理に対する感謝の気持ちを示せるように思います」