家族にとって妻が大切な存在であることを伝える
追い詰められたときの精神状態は複雑なので、矛盾したようなことを書いていますが、適当な返事をしてしまいそうになっても、そこは思い直して感謝の気持ちを述べるようにするだけで、いくらか妻の不安が払拭されるはず、と思っています。いくら気が滅入っていても、無愛想な返事をするくらいなら、口先だけでも感謝の言葉を、やわらかな口調で述べたほうがいい、と思っているくらいです。
いくら不安を抱かせないよう心がけたり、感謝の言葉を述べたりしていても、ときには家族にとって、いかに妻が大切な存在なのかを伝えるようにしています。
たとえば、娘が私より妻を信頼しているのは明らかな事実です。私も仕事を含め、人生の重要なシーンでは、必ず妻に相談します。多くのことを妻に相談する夫は、そんなに多くはないかと思います。これは私がダメ夫であるのも大きいのですが、わが家は妻を中心に動いている、といっても過言ではないのです。このように、私と娘にとって、妻はなくてはならない存在なのです。
このことは妻も実感していることですが、ときには家族にとって、いかに妻が大切な存在なのかを言葉で伝えるようにしています。口にするのが恥ずかしい感謝の言葉ほど、闘病者にきちんと伝えることで、安心させることにつながる、と考えているのです。
わが家の大きな問題といえば、お金のことです。お金がないため、妻を安心させることができず、つらい闘病生活をよりつらくしている、といっても過言ではありません。ですから、お金の心配ごとができたら、すぐになんとかするよう心がけています。
私はフリーのライターをしているため、月々の収入が大きく違うのですが、お金の心配ごとが解決したら、必ず金額で伝えるようにしています。たとえば、「今月と来月は20万円ちょっとしか入ってこないけど、再来月は85万円入ってくるから、赤字分はなんとかなる」といったように伝え、安心させるようにしています。
こうすることで、どれだけお金の心配ごとが解決するのかが、はっきりわかるからです。「だいじょうぶ」だけでは、どれだけだいじょうぶなのかが伝わらず、下手をすれば、本当にだいじょうぶなのだろうか? とかえって心配させてしまうことになりかねません。
ただ、私の場合、お金の話をするのが苦痛で仕方がありません。お金の心配ごとがあってもなくても、がむしゃらに働き、1000円でも多く稼ぐようにしなければならない状況に変わりはないからです。いまはもちろんのこと、将来の心配も解消するぐらい稼がなくては、妻が安心できないと思っています。
特にお金の心配ごとの話をするときは精神的なダメージが大きいため、話すメリットは何もない、と考えているくらいです。これは、お金の心配は稼ぐことでしか解消されないことを痛感しているからです。