メッセージの要件

説得力のあるメッセージをつくるために、次の4つを満たしているかどうかをチェックしてください。

1つ目は「ロジックエラーがない」こと。よく見受けられるのは、「AだからBです」と一見、主張と根拠を含んでいるように見えるのですが、「だから」に根拠がなく強引に結びつけている場合です。「既存顧客のリピート率が2割に満たないため、ブランド認知度を高める方策を取るべき」というように、主張と根拠がまったくつながっていないというミスは特に若手に多く見受けられます。ロジカルシンキングができていないためであり、資料作成以前の問題です。

2つ目は「相手の“なぜ?”に5回以上耐えられるか」。ここでのポイントは、自分の論理だけではなく相手の立場に立って繰り返すこと。自分が想定する疑問点と相手が実際に疑問に思う点は概して異なるものです。

相手はどんな疑問点を持つのか。商品を提案する場合を例に、ご紹介しましょう。提案を受ける相手の心理状態から4つのステージで考えていきます。

まず、相手が提案内容や商品を知らない「不信・不適」です。この段階では何を勧めているのか理解されていない状態なので、「それは何?」「自分には関係ない」と相手は考えているでしょう。したがって、訴求すべきメッセージを「これは何か?」と立てることができます。一歩進んで「不要・不急」(今は必要ない)の段階になれば、優先順位を上げてもらうために「なぜ今やらなくてはならないのか?」を、「不経済」(欲しいけど高い)となれば、比較対象となるほかの商品・サービスと比較してもらうために「なぜこれなのか?」を訴求します。最後は「不安」(本当にこれを選んでよいのか)という段階です。さまざまな選択肢があるなかで、本当にこの会社から買って間違いないのかという不安を払拭するステージです。

「なぜ私なのか?」という自身や自社の実績や信頼性がメッセージの中核となります。