仮説立案
ここまで述べた『影響力の武器』は、相手に何をどう伝えるかという仮説を立てるうえで、これから説明する方法と合わせて考えてみてください。
仮説を立案する際、私は「プロファイリングシート」を使います。外に見せる資料ではありませんが、ここに時間と手間をかけることでよりシャープな報告書や提案書を作成できます。シートの各項目を埋めることでプロファイリングが完成します。順番に解説しましょう。(図を参照)
まずは「ターゲット」の欄です。ここには資料を見せる相手が誰なのかを書き込みます。メーンのターゲットと、サブのターゲットを設定しましょう。
プロジェクトの報告会のような場合は、プロジェクトオーナーである役員がメーンターゲットに、そして、現場のリーダーや実際のユーザーがサブターゲットになるかもしれません。ターゲットのどちらがメーンでどちらがサブというのは、場合によっては切り替わることがあります。「将を射んと欲すれば先ず馬を射よ」ということわざがあるように、サブが満足することによってメーンも納得するケースもありますから、主従は、その時々によって状況判断が必要になります。「2:6:2の法則」、すなわち、ある集団の中には優秀な人が2割、普通の人6割、あまりできない人が2割くらいと言われます。これを目安にしてどの層をメーンターゲットにするのかを決めてもいいかもしれません。
「人物像」「期待」は前項にて解説した通りです。相手の期待するレベルが高く、その基準をクリアするのがやや難しい場合、作成する資料の中でどのようなデータを示すことで、その判断基準を揺るがすことができるかを検討する必要があります。
「情報」はWHY、WHAT、HOWの3つのカテゴリーに分けられます。それぞれのカテゴリーについて、相手の保有している情報量を「高」「中」「低」で見える化し、後に仮説を立てる際に、このうちのどれに重きを置いて説明すべきかを分析していきます。