経理処理の時間を半分に短縮

【田原】なるほど。最初の質問に戻りますが、そういうふうに家計の問題をITで解決するのがフィンテックなんですか。

【辻】フィンテックはもっと広い概念です。たとえばアップルやLINEがモバイル決済サービスに進出していますが、あれもフィンテックの一部です。私たちは、フィンテックの中でお金の情報に関する部分を担っているという位置づけです。

【田原】いまマネーフォワードの会員は何人くらいですか。

【辻】約300万人です。

【田原】これから法人もやっていく?

【辻】もう始めていて、法人は企業プラス個人事業主で、いま約47万ユーザーです。

【田原】じつは今日は法人の話も聞きたかった。僕は田原事務所という法人をやっています。月に1回、税理士さんが来てくれて、個人と事務所の両方の経理の事務をやってくれる。もしこれを辻さんのところでお願いすると、僕にどういうメリットがありますか。

【辻】まず安くできます。うちの仕組みだと、個人は月800円、中小企業は1800円です。

【田原】それは安い。税理士さんにお願いするのと桁が2つ違う。でも、そんなに安いと儲からないのでは?

【辻】儲かりません。ただ、企業の場合は会計と連携して給与とか請求書、それにいまならマイナンバーのサービスを一緒に入れてくれたりします。そちらのほうでもお金をいただいているので。

【田原】安いこと以外に、何かいいことありますか。

【辻】田原さんは税理士先生に丸投げされていると思いますが、私たちのサービスを使うと、丸投げされた側の経理処理時間が半分くらいになります。税理士先生は、おそらくいままで田原さんから領収書などをもらって手打ちで入力し、書類をつくっていたはず。それらが自動化されるので、圧倒的に経理処理の効率がよくなります。

【田原】ちょっと待って。辻さんのところのサービスを入れると、そもそも税理士さんに頼まなくてよくなるんじゃないの?

【辻】経理の数字を出すだけなら、うちの仕組みですべてできます。ただ、中小企業の社長さんはただ数字を出すだけでなく、出てきた数字をどのように見て、どう改善すればいいのかということも知りたいわけです。多くの会計事務所はコンサルタントとしての役割も果たしていますから、そこは役割分担が可能です。

【田原】つまり競合ではない?

【辻】私たちは会計事務所さんにも営業しています。うちの仕組みを使えば経理処理が楽にできて、そのぶんコンサルティングができますよと。いまちょうど、税理士先生がクライアントの企業に説明しやすくなるようなサービスもつくっています。