近ごろ「お見合い」が見直されていると聞く。そこで今回は「お見合い問題」(別名「秘書問題」)をご紹介したい。お見合いで最良の相手を選ぶためには、どういう選択をすればよいかというものなのだが、特別なルールがある。

仮にお見合い相手は4人とする。ルールは5つからなる。(1)必ず交際相手を1人決める。(2)お見合いはランダムな順番で行う。(3)まず何人見送るかを決めて、その数だけ必ず見送る。(4)その(3)以降のお見合いでは、それまでの人より魅力が劣っていたら見送り、それまでで一番いい人が来た時点で交際を決める。(5)前に見送った人とは交際ができない。

結論から述べると、最初の1人を見送ると決めるのが成功確率45.8%で最適な選択となる。次は2人見送ると決める場合で41.7%。3人見送ると決める場合(4人目と交際)と、最初の1人目を選んだ場合はともに25%となる。

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お見合い相手が4人の場合の選択

その仕組みを説明したのが樹形図だ。選択パターンは24通り。樹形図の数字は、「1」なら「自分にとって1番よい人」、そして2番手、3番手、4番手の相手という意味だ。「○」は、最良の相手と交際できたところにつき、成功を表す。

まず、1人も見送らずに1人目で決める場合、最初に「1」が相手になってくれて成功する確率は25%。もしも、その「1」の相手を見送ると、2番手以降の相手しか会えないので、結局「最良の人」とは交際できずじまい。だから「1」から始まる樹形図の「1人見送る」以降に○はつかない。

必ず1人目を見送る場合だが、1人目が「2」、2人目に「1」が来たら、その場で決めてメデタシ。2人目に「4」が来ても、「2」より魅力が劣るので見送り、次に「1」が来れば、ここでメデタシとなる。もしも「1」ではなく「3」が来ても、前にいた「2」よりも見劣るので、最後に「1」と出会ってメデタシというわけだ。

次に必ず2人目まで見送った場合を、1人目「4」、2人目「3」のケースで見ると、次に「1」が来てくれれば、その時点でメデタシとなる。しかし、「2」が来たら前の「4」と「3」より魅力的なので、そこで交際を申し込んでしまい、選択は失敗に終わる。

また、必ず3人目まで見送る場合は、最後の1人が「1」だったら成功ということになる。そして同様に検証し、見送る人数による、それぞれの成功率を明らかにしたものが、全体の樹形図なのだ。

もしも、お見合い相手が、10人、100人と増えていき、1000人になったらどうなるか。その答えは「368人目の人まで見送れば、ベストパートナーを選べる確率が最も高まる」だ。しかし、多忙なビジネスマンは樹形図など描いていられない。そこで便利な数字を数学者のヤコブ・ベルヌーイが発見した「ネイピア数≒2.718」で、対象となる全体の人数を割ると、ベストパートナーに出会うために見送るべき人数が弾き出せる。「1000÷2.718≒367.92」で、最も近い整数の368人となる。もっとも、あくまでも確率の世界の話なので、ご了解いただきたい。

(構成=田之上 信)
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