大前の視点[5]
極東でもっとも信頼できる国はロシアである

戦争終結70周年を迎える2015年、中国では「抗日戦争勝利記念日」に制定された9月3日に大々的な式典が予定されている。抗日戦争に勝利して、国土を取り戻し、中国人民を解放したのは中国共産党である――。共産党一党独裁を正当化するために中国ではこのように国民教育しているが、もちろん史実は違う。

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日中関係の戦後史

最初の戦勝国会議であるカイロ会議に出席したのは国民党の蒋介石。抗日戦争の矢面に立ったのは主に国民党軍で、共産党軍は日本軍に追われて逃げ込んだ(これまた共産党は「長征」という美辞で語っているが)長江の奥地から後方支援をしていたようなものだ。戦後の国共内戦で共産党が勝利して国民党を台湾に追いやったのは1949年だから、終戦後4年以上も経過している。国際連合の常任理事国になったのも蒋介石の中華民国、すなわち台湾であって(1946年から71年までの26年間)、中国が台湾に成り代わって常任理事国になったのはニクソンショックの後の1971年のことだ。中国人民を日本軍から解放した、という共産党の一党支配の根拠もまた歴史の捏造(あるいは誇張、美化)なのだ。

歴史の捏造は中国共産党の得意技で、それがゆえに日中の歴史認識はあまりにかけ離れたものになっているのだ。