歴史は、嘘をつく。なぜなら人間の歴史は戦争の歴史であり、歴史は勝者によってつくられるからだ。第二次世界大戦の敗戦国となった日本に何が起きたのか。そしてどのような負の遺産が、今日に至るまで残されているのか。大前研一氏に、語ってもらった。(前編の続き)
大前の視点[3]
尖閣問題の裏に自民党政権の密約外交がある
「わが国固有の領土」という言い回しをよくするが、「古来、誰のものか」という議論では領土問題は解決しない。そんなことをいっていたら、アメリカの土地はネーティブアメリカンに返さなければならないし、ヨーロッパのほとんどの国が細胞分裂してしまう。
尖閣諸島の領有権について日本政府は日清戦争の2年目、1895(明治28)年に閣議決定によって日本の領土に編入したことを根拠にしている。しかし国会決議ならまだしも、国際社会に発信もしていない一内閣の閣議決定を領土画定の根拠にするのは無理があるだろう。近代以前に遡れば、明の時代に中国船の航路の目印に使われていたり、台湾の漁民が漁場にしていたことを示すような証拠もある。尖閣諸島を沖縄の属島と見ても、「琉球王朝を日本が無理矢理併合した」と中国では教えられているわけで、「日本固有の領土」という日本の歴史認識は相当に怪しい。とはいえ、中国が尖閣諸島の領有権を主張するようになったのは、海洋調査で周辺海域に豊富な石油資源が眠っていることがわかった1970年前後からだ。
▼知らされなかった棚上げ合意の密約
尖閣諸島を実効支配している日本は「尖閣に領土問題は存在しない」という立場だが、国民にもそう説明している。しかし、実際には1972年の日中正常化交渉で、尖閣の領有権を「棚上げ」することで当時の田中角栄首相と周恩来国務院総理が合意している(日本政府は認めていない“密約”だが、野中広務元官房長官の証言や中国側の資料で確認されている)。
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