「NIKKEIプラス1」にはほかにも、生活に身近な経済ネタ・家計ネタが面白く、わかりやすく書いてあります。お金のことを学び、経済感覚を培う入門編としては、とてもいい材料だと思います。

金銭教育とは倫理観の教育です!

一方、息子の小・中学生時代には、経営者の話などをよくしてやったものです。私は本の執筆を週末に集中して行います。煮詰まってくると夕方に1時間から1時間半ほど散歩をする。息子は小さいときから、その散歩によく付いてきました。そのときに、ほかにやることもありませんから、会話をすることになるわけです。「世の中には立派な経営者がいる」という話だけでなく、企業や経営者の不祥事についても話題にします。「人をだまして儲ける、法律違反をして儲けるなんてのは、とんでもない話」だと。

「お金は大事」と認識したり、「お金の稼ぎ方」を学ぶことは必要なことかもしれないけれど、もっと大事なことがあると教えたかったのです。たとえば、「社会のために貢献しよう」と本気で考える企業であれば、「いい商品やサービスを作ろう」となり、結果的にそのほうが儲かる。金銭教育とはすなわち、倫理観の教育なのです。

小宮一慶
大阪府立生野高校、京都大学法学部卒。東京銀行(三菱東京UFJ銀行の前身の一つ)入行。M&Aなどを担当した後、岡本アソシエイツに取締役として移籍。カンボジアの国連平和維持活動にも参加。1996年、小宮コンサルタンツ設立。明治大学専門職大学院特任教授、ルーマニア・スピルハレット大学客員教授、名古屋大学客員教授等を歴任。著書に『お金の殖やし方・守り方』など多数。
(小澤啓司=構成 遠藤素子=撮影)
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