「Aちゃん、もう生理になった?」。娘が小学校4、5年生になると、ママ友の間で話題になるのが初潮(初経)の話。受験シーズン、試験当日に月経痛で苦しんだりしないか心配になっている親もいるだろう。
「個人差はありますが、10~14歳で初経を迎えるのが一般的です。体重が40kg以上、身長が146cm以上になったら初経が近いと考えましょう」。そう解説するのは、飯田橋レディースクリニック(東京・飯田橋)院長の岡野浩哉先生だ。
では、小中学生の娘が月経痛を訴えたらどうしたらよいか。
「小中学生の月経痛は、発熱したときに服用するアセトアミノフェンなど市販の解熱鎮痛薬で対応できることがほとんどです。毎回痛みがあるなら、月経が始まったらすぐ、痛みが出る前に鎮痛薬を飲み始めるのがコツです。1~2日間鎮痛薬を服用すれば、月経痛が出ずに乗り切れる人が多いです」
痛みが生じるのは、子宮内膜からプロスタグランジンという物質が生み出され、子宮が収縮して血液が滞ることが原因だ。プロスタグランジンは、子宮の収縮を促して月経血を体の外へ押し出す働きをすると同時に痛みを発生させる。鎮痛薬にはプロスタグランジンの合成を抑える作用がある。痛みを感じたときにはすでにこの物質が作られているので、鎮痛薬を飲んでも効果は乏しいわけだ。
副作用を心配して鎮痛薬を飲ませたくないと考える親もいる。しかし、「1カ月のうち数日間飲んでも弊害はありません。我慢させた場合の学業やクラブ活動などへの弊害のほうが心配です。もちろん、使用の際には薬剤師と相談してください。鎮痛薬が使えないお子さんもいます」と岡野先生は強調する。
ただ、多量のプロスタグランジンが合成されるようになるのは、月経が周期的になってから。初経後すぐより中高生になって月経痛に悩む人が増えるのは、初経直後は排卵がなくプロスタグランジンの量も少ない場合が多いからだ。