──今回、日本代表は31人中10人が外国人または国籍取得選手です。しかし、“助っ人外国人”という印象はなく、チームの結束を感じました。
エディー・ジョーンズは私に、「チームに最も大切なのは、チームとしてのアイデンティティやカルチャーをつくることだ」と話しました。人種や国籍は関係ないと。重要なのはチームをまとめるリーダーをいかに育てるかでした。ラグビーという競技は試合中、監督やコーチはベンチに入れませんから、選手は多くの判断をフィールドでしなければならない。エディーの指導は猛烈なスパルタです。その一方で選手の自主性を育て、リーダーを育てることを考えていた。エディーはリーダーに指示し、選手に落としこむプロセスはリーダーにやらせるということを徹底しました。
──マイケル・リーチ主将のリーダーシップは素晴らしかった。
ニュージーランド出身で高校から日本に住み、英語と日本語を話し、外国人と日本人の両方の考えがわかるリーチの存在は非常に大きかった。バイスキャプテンの五郎丸歩も、堀江翔太も、非常に成熟したリーダーに育っていった。五郎丸が大活躍したのは、猛烈な練習の成果であることはもちろんですが、人間的な成長が非常に大きい。エディーが五郎丸に役割を与えて自覚を持たせ、パフォーマンスが向上した面はあると思います。
──南アフリカ戦の終盤、ペナルティゴールで同点に追いつく場面。コーチからゴールの指示が出ていたところを選手は従わず、スクラムでトライを狙いました。
あのとき、マイケル・リーチが現場でスクラムの判断をしたそうです。あれには伏線がありました。南アフリカ戦の日の朝にカフェで、エディーがリーチに「最終的な判断はおまえに任せる」と伝えていたのです。