本田宗一郎と盛田昭夫の共通点は

日本には「出る杭は打たれる」という言葉があると聞いたが、では本田宗一郎はどうか。生前の本田は、決して礼儀正しく誰にでも優しい人物ではなかった。ホンダを世界的自動車ブランドにすることのみに集中し、それを達成した。ソニーの盛田昭夫も同じだ。『「NO」と言える日本』という極めて刺激的で反米的ともいえる本を出してベストセラーにしながら、一方では時代を先取りして子供を米国に留学させ、自身も非常に目立つタイプだった。この2人を見ただけでも、日本においてさえ目立たない壁の花でいることは決して良策ではないことがよくわかる。

権力を握るうえでもう1つ欠かせないのが「弱いつながり」である。いつも家族や親友とばかり一緒にいると知り合いも重なり、いつも同じことを繰り返すばかりになるので発展がない。だからこそ、自分とは全く違う種類の人間や完全に別のサークルで動く人たちとつながっておくことにより、いざというときに必要な情報や連絡先を手にすることもあるのだ。

こういったつながりを手にしようと思うなら、誰一人として知り合いがいないような集まり、普段は関心がない分野の会合などに顔を出すことだ。日本には仕事の後に同僚と飲みに行く風習があると聞いているが、それを社外の人との飲みに切り替えるだけで大きく変わる。新しい出会いの中にこそ新しい学びやネットワークがあるのだ。

最後に、あなたが得意先で「感じが悪い権力者」と向かい合ったときのことを話しておきたい。相手との関係をつくることは大切だが、決して圧倒されてはならない。そもそも、なぜ相手のほうが力を持っていると思うのか? 先に触れたような振る舞いを相手がするからではないか? それなら、あなたのほうが力があるかのような言動をすればよいのだ。権限があるかのように振る舞っていれば、多くの場合その通りになる。英語でFake it'til you make it(できるまでできるふりをしろ)という諺があるが、間違いなく真実である。ぜひ試してみてほしい。

Jeffrey Pfeffer(ジェフリー・フェファー)
専門は組織行動学。1979年よりスタンフォード大学で教鞭をとる。ハーバード大学ビジネススクール、ロンドン・ビジネススクールなどでも客員教授や講師を務め、世界中で経営幹部向けのセミナーも行っている。主な著書に『影響力のマネジメント』『「権力」を握る人の法則』などがある。
(タカ大丸=構成 AP/AFLO=写真)
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