米国留学する日本人の割合は減少
米国にInstitute of International Education(IIE)という、海外留学や海外研修を手がけるNPO団体があります。歴史も長く大きな組織の1つです。IIEが2014年11月に発表した「Open Doors 2014」によると、米国のカレッジ、大学、大学院への留学生人数を出身国別にみた統計では、日本人は著しい減少傾向にありました。2000年は全体の9%の約4万7000人だったのが、2014年には2%以下の約1万9000人です。世界各国から米国への留学者数は約87万に達し、前年に比べると8%伸びている状況ですので、日本の傾向はグローバル時代に逆行しているようです。
留学生全体では、中国、インド、韓国だけで半数を占め、中でも中国からの留学生は全体の31%とほぼ3分の1です。こういった数字だけをみると、米国への留学者数を増やしている国がいくつもあるのに対し、日本は減少の一途をたどっています。私の勤めていたワシントン大学でもアジア系の留学生は年々増えていましたが、日本だけは減っている印象でした。
このような状況ではありますが、グローバル化した時代に日本の社会を支える次世代の人たちには、ぜひとも海外の空気に直接触れる機会を持っていただきたい。それこそ、インターネットから得られる海外の情報だけでなく、実際に海外の人々と触れ合って直接コミュニケーションをする経験を持ってほしいと思います。情報を吸収するだけでなく、発信もでき、双方向のコミュニケーションができる人材が日本にはより多く育つ必要のある時代ですから。
窪田 良(くぼた・りょう)●1966年生まれ。アキュセラ創業者であり、会長、社長兼CEO。医師・医学博士。慶應義塾大学医学部卒業後、同大学院に進学。緑内障の原因遺伝子「ミオシリン」を発見する。その後、臨床医として虎の門病院や慶應病院に勤務ののち、2000年より米国ワシントン大学眼科シニアフェローおよび助教授として勤務。02年にシアトルの自宅地下室にてアキュセラを創業。現在は、慶應義塾大学医学部客員教授や全米アジア研究所 (The National Bureau of Asian Research) の理事、G1ベンチャーのアドバイザリー・ボードなども兼務する。著書として『極めるひとほどあきっぽい』『「なりたい人」になるための41のやり方』がある。Twitterのアカウントは @ryokubota 。 >>アキュセラ・インク http://acucela.jp