ロボットの力を借りて販売店強化

その適任者に抜擢されたのが星野専務だ。星野専務は今年4月1日付で常務執行役員から国内営業担当の専務執行役員に昇格、「日産自動車のシークレット・ウェポン(秘密兵器)」(カルロス・ゴーン社長)だそうだ。02年に市場調査の会社役員から、評判を耳にしたゴーン社長に直々に請われて転職した。

星野専務がまず取り組むのが、販売店の戦力強化だ。具体的には、国内販売店の約8割にあたる1700店舗の改装を16年度上期までに完了させ、顧客が店舗に入りやすい環境やクルマに触れやすい環境を整える。そして、店頭で日産がウリにする電動化、知能化技術の体感試乗会を実施、さらには電動化、知能化を軸にしたマーケティング活動も展開していくという。もちろん、販売店員の教育にも取り組み、「おもてなし」をテーマにしたトレーニングの強化も行うそうだ。

また、ロボットの力も借りる。ソフトバンクの人型ロボット「Pepper」を11月中旬から販売店に導入する。まず女性顧客への対応を重視している「レディー・ファーストショップ」のうちの100店から始める。星野専務によれば、日産の販売店専用のアプリを搭載し、子ども向けのなぞなぞやダンスなどができるようにするという。

確かにこうした取り組みは、販売台数を伸ばすために大事かもしれない。しかし、日産は“商社”ではなく“メーカー”だ。まずは魅力的で運転してみたくなるクルマを投入することが重要だろう。そうすれば、そのクルマを目当てにお客がやってくるに違いない。

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