2015年8月28日、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(女性活躍推進法)が参議院本会議で可決、成立した。安倍首相は「女性を意思決定権のある地位につけていくための第一歩だ」と意義を強調。2016年4月から大企業を中心に、女性の管理職比率や採用比率の数値目標を含む「行動計画」づくりなどが義務づけられる。一方で、割を食うのが管理職待機組の男性社員たちだ。『人事部はここを見ている!』(溝上憲文著 プレジデント社)より、「昇進・昇格」の最新事情をお届けする。

男性社員にとって管理職の椅子は狭き門に

多くの企業で女性管理職の増加を目指す動きが相次いでいます。たとえばイオンの部課長や店長などの管理職全体に占める女性の比率は現在約7%。それを2020年には50%に高める方針を株主総会で表明しています。

とはいっても管理職に起用するのは簡単ではありません。学卒女性の採用数は近年増えていますが、子育てなど仕事と家庭を両立できる定着しやすい環境の整備はもちろん、管理職になりたいという意欲を持たせることも大事です。だが、なりたいという女性が極めて少ないと嘆くのは製薬会社の人事部長です。

「営業の女性MR(医薬情報担当者)だけを集めた研修の際、管理職になりたいと答えたのはわずかに1割しかいませんでした。なりたくない理由で最も多かったのは『男性管理職は毎日疲れた顔をしていて、ちっとも格好よくない。自分はそうなりたくない』というものでした」

『人事部はここを見ている!』溝上憲文著(プレジデント社刊)

共働きの女性の場合、給料が高いという魅力だけで管理職になりたいという人はいません。男性管理職自身の働き方が変わる必要があるということで、今は働き方を含めた意識改革を実施しているそうです。

精密機器メーカーの人事部では女性優遇の昇進基準を設け、積極的に女性を登用するように部門長に呼びかけています。

人事部長はこう言います。

「管理職候補者に必ず女性を入れること、その中から1人を選ぶ際に甲乙つけがたい男女がいた場合、女性を任用するようにと言っています。もし男性が選ばれたとすれば、なぜ女性でなかったかという説明を求めるようにしています。また、経営トップが発信し、部門長には女性社員の育成義務を課しています。男性だけが昇進するような事業部は部門長の評価にも影響することになります」

自分にとって使いやすい男性社員だけを登用しないように釘を刺すやり方です。

会社の方針とはいいながら、ただでさえポスト不足で管理職になりたくてもなれない男性が多いのが現実です。そのポストに優先的に女性を就けるのですから、男性社員にとって管理職の椅子はますます狭き門になりつつあります。

※本連載は書籍『人事部はここを見ている!』(溝上憲文著)からの抜粋です。

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