たとえば中国。この国を訪れると毎晩憂鬱になる。テレビをつけると抗日戦争の映画ばかりが垂れ流されているからだ。
「抗日戦争に勝利して日本の植民地支配から中国人民を解放したのは中国共産党の功績である」。このように、共産党政府は今でも必死にアピールしているわけだが、それこそ歴史を直視していない。
歴史的に見れば、抗日戦争に勝利したのは蒋介石(あるいは国共合作プラス連合軍)である。戦勝国が集まったヤルタ会談にもカイロ会議にも毛沢東は呼ばれていない。毛沢東が中国本土を統一して蒋介石を追い出したのは、戦争が終わって4年以上が経過した1949年のことだ。
むしろ毛沢東は日本軍と通じていた部分があったようで、A級戦犯と何回も接触していた記録が残っている。中国4000年の歴史は他民族の侵略と漢民族の分裂の歴史。「1つの中国」と言うがそういう概念が何を指すのかも不明である。
韓国にしても、朴槿恵大統領は日本の植民地支配に抵抗した「三・一独立運動」の記念式典で演説し、「加害者と被害者という立場は1000年の歴史が流れても変えることはできない」と述べた。これも歴史を直視できていない発言だ。韓国は中国を何回も侵略しているし、実は日本にも兵を送っている。
フランスとドイツの歴史を振り返れば、加害者と被害者の立場は何度も入れ替わっているではないか。カリフォルニアやテキサスを奪ったアメリカをメキシコは恨み続けているだろうか。朴大統領は元寇の際に日本を襲来した兵の多くが朝鮮半島の高麗人だったことをご存じないようだ。高麗人が先兵となって壱岐・対馬で暮らす日本人を凌辱し、虐殺した“歴史”についてだ。当時、元軍にどれだけの高麗人がいて、いかに好戦的だったか、資料を調べればいくらでも出てくる。
私の父親の出身は対馬だ。「被害者と加害者の関係は1000年の歴史が流れても変えることができない」と言うなら、2度の元寇から800年も経っていないのだから、謝罪や賠償に応じていただいても構わない。「歴史を直視せよ」などという言い草は天に唾するに等しい。アメリカもフランスもスペインもポルトガルも、すべての人は歴史を直視するのが苦手なのだ。