法的にも結論は出ているが
民法第627条「1.当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から2週間を経過することによって終了する」。
この民法の条文では、「各当事者は」と企業側にも解約する権利があるのですが、今度は労働契約法の第16条 「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」が適用され、社員の解雇と同じレベルの明確な理由が必要だというのです。
世論としても「そりゃ、企業は強者だし、弱者である学生を守るのは当然」という意見が多数派と思われます。やっぱり、この問題、どこまでも企業側に不利なようです。
実は、私は約25年前に、新卒採用のコンサルタントからキャリアをスタートしました。かれこれ四半世紀、企業の採用活動を間近で見てきました。その私が感じるのは、「日本の新卒採用活動は、学生に甘すぎ」ではないか、ということです。「企業=強者、学生=弱者」という世間のイメージについても、違和感を覚えます。特に、今年のような売り手市場の時期には、尚更です。
たとえば、採用のための会社説明会。事前連絡による欠席はともかく、連絡なしのドタキャンは後を絶ちません。ある中小企業の説明会などでは、参加申込みの3分の1の人数しか当日集まらなかった、といったケースもあります。「とりあえず手あたり次第に申し込みだけしておいて、その日になって考えよう」という感覚の学生も少なくないのです。担当者の詰めが甘かったといえばそれまでですが、会社説明会には、多額の会場代や資料代、人件費もかかっています。一歩社会に出て、ビジネスの世界に入ったなら、許される行為ではありません。
折しも、今年5月18日から、厚生労働省は違法な長時間労働などを労働者にさせる「ブラック企業」について、是正勧告の段階で社名を公表する新方針を打ち出しました。
正直、叶わぬこととは知りつつ、「会社説明会の無断欠席や、やみくもな内定辞退を繰り返すブラック学生の実名を公表」できるようにして欲しいと思うことがあります。
まあ、個人情報保護の観点からも国が動くのは無理でしょうが、企業としてはできることがあるかもしれません。たとえば、フェイスブックなど個人のSNSでの言動などをチェックし、選考の際の参考情報にする会社も出てきました。ひょっとすると、クレジットカード会社のブラックリストのように、どこかで「ブラック学生リスト」が作成されているかもしれません。少なくとも、一企業内においては、無断欠席した学生は次回以降の説明会や選考会参加を受け付けない、くらいの対応策は可能です。
いずれにせよ、キレイごとかもしれませんが、採用活動・就職活動は、企業も学生も『相手の立場を考えて、誠意を尽くした行動をとる』ことを期待したいと思います。