「思いやり」は多様性理解のキーワード
【松崎】「スポ育」という、われわれが提供している学校向けの体験学習は、2010年の9月から始めたものです。それ以前は、ブラインドサッカー体験会という形でやっていました。僕たちも認知を広げたいという思いがありましたし、小学校のときの恩師を含めいろんな先生に会いに行って「ぜひ、学校でブラインドサッカーの体験会をやってください」と、お願いして回っていたんです。
「そういうのを学校でやるのは2年かかるよ」とか、「子供たちにやらせる意味がわからない」という率直な意見もいただきました。そんな中、体験会を学校でやってくださったある先生から、「ブラインドサッカーから学べることはたくさんあって、あなたたちは素晴らしいプログラムを持っている。それが学校にとって何の役に立つのかを、もう少しちゃんと考えなさい」と言われたんです。
それで、ブラインドサッカーの位置付けを「知ってもらうための体験会プログラム」から「ダイバーシティ教育プログラム」に変えていったんです。石碑に「思いやり」と刻んでいる学校が多数あるくらい、思いやりの気持ちが日本では大事なんですよね。「思いやり」とは利他精神に立つことであり、個性を理解することであり、許容力であったりするわけです。実は多様性、ダイバーシティ、を理解するための大切なキーワードなんです。
思いやりの気持ちをブラインドサッカーからどのように学べるのかを資料化する中で、一気にブレークスルーしたんです。「お願いだからブラインドサッカーを知ってください」と言っていた時代から、今では先生側から応募が殺到するほどになりました。2014年度は478件の学校で「スポ育」をやらせてもらうことにもなりました。クチコミの力もありますし、リピートしてくださる先生のおかげもあります。