周囲よりも多く成果を挙げる人がいる。そのためには、日ごろから効率を上げ、結果につながるような努力を続けているに違いない。どんなことを心がけているのだろうか。

海外の視点で日本市場を読む

投資戦略立案の専門家で、メディアでも引っ張りだこの藤戸則弘さんの1日は、朝5時、枕元に置いたiPadでの情報収集に始まる。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券 参与 投資情報部長 藤戸則弘氏●1979年、早稲田大学卒。約20年にわたって生命保険会社で資産運用業務に従事。国際証券などを経て2010年より現職。

「目覚めてからベッドを離れるまでの10分程度、海外市況サイトを簡単に見ます。前日の予測に対して、イメージ通りだとか予想外な動きがあったなというのを、とりあえずざっくり確認するのです」

藤戸さんの業務は、個人投資家に向けて「どこに何を投資すればいいのか」情報を発信することだ。投資のベースとなる株価や為替、金利、コモディティ(商品)の数字を押さえておく必要がある。担当は国内株だが、朝一で確認するのは、海外におけるこの4つの数字だ。

「従来は国内情報で十分でしたが、今や東証の株式の売買は約6割が外国人投資家で、彼らが東証の動きを左右します。したがって、収集するのも6:4で海外の情報になります」

欧州市場は日本時間では夜中、米国市場は明け方にクローズする。そのため藤戸さんは朝起きぬけに海外市場のデータをチェックするわけだ。大雑把な流れを頭に入れた後は、世界のメーン放送局のニュースが流れるBS放送を流しながら、朝食をとり、出勤の準備をする。

「BSは、一般の地上波テレビでは放映されないような各国の政治、経済、社会、天災などの情報がタイムリーに拾えます。世界が向いている方向や、その国の庶民の関心事を掴むのは、マーケットを分析するうえでは欠かせません。

海外情報は国内ニュースでも放映される場合もありますが、どうしてもタイムラグがある。私にとって情報はスピーディであること、グローバルに見ることが重要です。現地に住んでいる投資家がどういう目で見ているか、つまり外国人の目で日本市場を見ることが必要で、BSにはそのヒントがあります」