周囲よりも多く成果を挙げる人がいる。そのためには、日ごろから効率を上げ、結果につながるような努力を続けているに違いない。どんなことを心がけているのだろうか。

勝負を決める下準備の厚み

「お得意様の担当者から『提案にストーリー性があってわかりやすかった』とほめていただきました」――アサヒビールの首都圏広域支社に属する小林由佳さんがそう振り返るのは、2012年1月に開かれた大手チェーンの提案会だ。チェーン店関係者のほか、卸業者、競合他社の営業担当ら200人超が詰めかけていた会場で、小林さんは販促強化を提案するプレゼンテーションを行った。

アサヒビール首都圏広域支社 広域第一支店 副主任 小林由佳氏●1987年、千葉県生まれ。2009年明治大学農学部卒業。10年より首都圏エリアの大手チェーンに家庭向け商品を販売。

小林さんの主業務は、大手チェーン相手の営業。取引先向けに提案書を書くことは珍しくない。が、当時入社3年目だった小林さんにとって、それだけの大舞台は初めて。

しかし、小林さんの提案はそのまま採用されたばかりか、並みいる競合他社を抑えて、販促成果の評価も含めた同チェーンMVPに輝いたのだ。

2カ月に一度開かれるこの提案会は、自社製品の売り込みではなく、得意先の業績アップを図る提案が求められる。その評価も得意先ばかりではなく、会場に居合わせた人々の意見も勘案されるという。

「私も営業ですから、提案では自社の商品を優位にしたい。でも、それが見えるようなプレゼンでは聞く人が引いてしまい、話をまともに聞いてもらえません」

このとき、小林さんが着目したのは、酒類の売れ行きに陰りが見える花見シーズンの販促戦略。提案書の作成には、МD(マーチャンダイジング)担当者の手を借りながら2カ月あまりの時間をかけた。

「提案書づくりに関して、自分にそれほどスキルがあるとは思っていません。ただ、それまでにかけた下準備の厚み。その結果が出たのかなと思います」と謙虚な小林さん。しかし、ほかの取引先でも提案は高評価を受けているという。

説得力があり、実績につながる提案書は、どのように組み立てられるのだろう。