W杯開催地見直し論も浮上
もっとも、FIFAの権力闘争は複雑である。英国などの欧州勢が「反ブラッター」を声高に叫んでも、北中米カリブや南米勢、アフリカ勢、アジア勢の支援を受けたブラッター会長が一度は続投を決めたのだった。アメリカ司法省の摘発があっても、多くの協会が投票行動を変えなかった。
普通であれば体制の刷新となるのだろうが、FIFAの政治力学はそう単純ではない。欧州勢などサッカー界の先進国の「常識」と、アジア、アフリカ勢などの途上国の「常識」が違っているのかもしれない。
ついでにいえば、ブラッター支持派といわれている日本サッカー協会の大仁邦弥会長はブラッター会長に投票したかどうかを公言していない。なぜ隠すのか。日本はもっと明確に意志を示すべきである。将来のW杯招致に向け、もっと政治力を備えるべきである。
今後のポイントはまず、次期会長にだれがなるのかである。さらに司法当局の摘発がどこまで拡大するのか。ブラッター会長にまで逮捕が及ぶのか、米国内のスポーツ用品メーカーまで捜査が入るのかだろう。
2018年、22年のW杯の開催地の見直し論も浮上している。
いずれにしろ、FIFAは改革が求められている。組織の透明化とガバナンス、コンプライアンスの強化を進めなければならない。信頼できる第三者委員会による検証、再発防止策の策定、体制の刷新……。これを機に周囲からの信頼を回復することができるのか。当分、目が離せない。