独立後は、外国のライセンサーと、ライセンスを使いたい日本企業をつなぐ事業を展開。サンダルの「クロックス」とは、その時期に偶然に出合いました。あまりに履き心地がいいので自分で直接扱いたくなり、アメリカ本社と交渉して日本法人を立ち上げました。

クロックスは大ヒット。日本法人は年商100億円へと成長しました。ストックオプション契約を結んでいたので、権利を行使すれば2億8000万円のお金が転がり込んでくる状態に。また、気づけば年収も数千万単位になっていました。一生懸命やっていて、ふと振り返ったら一財産できていたという印象です。

しかし、私はクロックスも退職しました。最初は自由にやらせてもらっていたのですが、日本法人の売り上げが伸びてアジア市場の半分以上を占めるようになると、本社からいろいろ介入してくるように。そこで衝突して、2週間後には辞めていました(笑)。

勝手に辞めたのでストックオプションを放棄することになりましたが、後悔はしていません。そもそも自分はお金のために働いているわけではありません。死ぬ直前に「俺はこれだけの財産を築いた」と振り返るより、「成功も失敗もたくさんしたけど、一生懸命生きて楽しかったな」と思えるような人生を生きたい。だからお金があろうとなかろうと、どっちでもいいのです。

いまは、自分や社員が気に入った商品のブランドの卸と輸入をしています。「いままでなかったけど、これいいよね」というものを選んで仕掛けていますが、ヒットすると、自分や仲間のことを認めてもらえたような気がして、心から嬉しくなります。これからも、そういった気持ちを分かち合えるような仕事をしていきたいですね。

ジュート社長 森平茂生
1964年、東京都生まれ。成城大学経済学部卒業後、コンピュータ周辺機器会社に入社。92年、父の経営するモリダイラ楽器製造に転職、2002年より系列のモーリス楽器製造社長を兼任する。04年に父から受け継いだすべての財産を返上し、両社を退職。05年、現在のジュートを設立。仕事で訪れたハワイで出合ったクロックスに惚れ込み、日本支社を設立。年商100億円にまで成長させた。
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(構成、文=村上 敬 撮影=工藤睦子)