日本の報道では、この声明文は、いわゆる歴史認識の問題について演説内で「謝罪」がなかったことに抗議するために発表されたかのように扱われていたが、全文を読んだ印象は全く違う。声明文で演説に触れた部分は次の通りだ。

「議会演説において、安倍首相が人権という普遍的価値、人間の安全保障の重要性、そして他国に与えた苦しみを直視する必要性について話しました。私たちは、こうした気持ちを賞賛し、その一つ一つに基づいて大胆に行動することを首相に期待してやみません」

これがどうして総理への抗議になるのか理解に苦しむ。

こと歴史問題に関して、第二次大戦の敗戦国である日本は、国際的に肩身の狭い思いをしてきた。外交下手も重なって、海外では中国や韓国の一方的な主張に押されてきた面もある。それが、安倍総理と現政府の努力で少しずつ風向きが変わってきたように思う。声明文をさらに読んでみよう。

「慰安婦問題は、日本だけでなく、韓国と中国の民族主義的な暴言によっても、ゆがめられてきました」「元『慰安婦』の被害者としての苦しみが、その国の民族主義的な目的のために利用されるとすれば、被害者自身の尊厳がさらに侮辱されることになります」「『慰安婦』の正確な数について、歴史家の意見は分かれていますが、おそらく永久に正確な数字が確定されることはないでしょう」「米国、ヨーロッパ諸国、日本を含めた、19・20世紀の帝国列強の中で、帝国にまつわる人種差別、植民地主義と戦争、そしてそれらが世界中の無数の市民に与えた苦しみに対して、十分に取り組んだと言える国はまだどこにもありません」