「できるつもり」なのに評価されない理由

【高城】企業の人事評価は、絶対評価のあとに相対評価がついてきます。絶対評価ではオール90点でも、相対的に見ると「92点」と「95点」というように分散していて、最後は真ん中の「50点」に落としてから並べ替える。一般的にいえば、必ず相対評価で考えられる。この場合に、相対評価の評価基準が、会社によってそれぞれ存在します。自分が考えている評価項目と上司の評価項目が違っていることが多く、それが「バイアス」と感じる理由になるのです。

【齊藤】それが裏メニューである場合も、そうでない場合もあるということですね。

【高城】評価で不満が出るバイアスとは、「なんで自分はアイツより評価が低いんだ」という考えです。たぶん全員が90点なら問題はないのですが、絶対評価から相対評価に変わったときに、自分のほうが評価されてないっていうことに対して強くバイアスを感じるんです。

【齊藤】たとえば給料を月50万円もらう人にとって、自分の同期が45万円だったら非常に満足する。「俺のほうがやはり多い、ちゃんと評価されている」と。ところが相手が60万円だと不満に感じる。他人と比べてどうかが大きく左右する。オリンピックで、2位の人は、あまり満足しない。ところが3位の人はメダリストに入れたとすごく喜ぶ。でも2位の人は、もうちょっとで1位になれたと、不満顔なんです。

【高城】なるほど。

【齊藤】客観的評価は存在せず、私たちは他人と比較しないと生きていけません。誰と比較するかというと、身近な人と比較する以外ないんです。結局そこに、自尊心、プライド、幸福感などが凝縮されてしまう。