あらゆる分野で、2020年までに指導的地位の3割以上が女性となる社会を目指す。これが政府の掲げる国家目標です。国家公務員はもちろん、企業においても管理職・取締役に登用される人のうち3割以上を女性にするよう、制度づくりを進めるというものです。
そもそも、日本社会は先進諸国と比べてもったいないくらい女性活用に慎重です。たとえば女性の取締役を有する企業の比率を見ると、欧米や中国企業では50%を超えるのに対し、日本は6.1%に止まります。全取締役に占める女性の比率となると0.7%にすぎません。
安倍総理は「上場企業は少なくとも1人の女性取締役を置くべき」と提言しましたが、この点では周回遅れの感が否めません。最も先進的なノルウェーは05年の会社法の改正で、すべての株式会社は取締役の男女比をほぼ等しくしなければならないと定めました。取締役が2~3人なら男女の取締役がいること、4~5人なら男女とも2人以上と総数に応じた基準があり、10人以上では男女とも40%以上でなければなりません。
ノルウェーの場合、法改正以前は女性の取締役は上場企業でも7%未満にすぎなかったため、企業はにわかに取締役の重責を担える人材探しに走ったといいます。混乱はありましたが、現在は有能な女性を世界中から「探す」段階から、自前で「育てる」段階に入っています。この動きはEU諸国にも伝播しつつあります。
アメリカに目を転じると、巨大企業GMのCEOに生え抜きの女性メアリー・バーラ氏が就任し話題となりましたが、大企業の女性CEOはもはや珍しい存在ではありません。長期にわたりリーダーシップを発揮している女性CEOがいる一方、華々しく登場したIT企業の女性CEOが業績不振のために退任したことも記憶に新しいところです。性別ではなく「いかに業績を残せるか」の一点で選ばれるようになっているのです。