痛くも苦しくもないのに、人間ドックや健康診断でがんが見つかると、転移する前に早く切らねばという恐怖心からすぐに治療を開始する人が多い。しかし、本当にそうなのだろうか。近藤先生は、放置してもがんが転移せず、大きくもならない人が多数いることに注目し、「がんの放置治療」をすすめている。

※第1回はこちら(http://president.jp/articles/-/14935)

余命を宣告される病気では、圧倒的に「がん」が多い。治療が命綱の医者にとって、余命は短く言うほど「うまみ」が増すのだ。だから医者たちは、がんを発見次第、余命を告知するのだが、実は、余命宣告の多くはいい加減である。

がんが人の命を奪うのは、肺、食道、肝臓、脳などの重要臓器でしこり(がんの腫瘤)が増大して臓器や気管をふさぎ、呼吸などの生命活動が損なわれたときだ。ひとつ例を挙げると大腸がんの場合であれば、まともな医者が余命を言うのはほとんど、肝転移があるときだ。しかし転移の個数や大きさは、患者によって違い、マチマチだ。また、がんの病巣が大きくなるスピードも、患者によって全く異なる。だから余命を正確に判断するためには、増大スピードを調べる必要があるが、その観察はすぐにはできない。10~30年もかけて、ようやく1センチに育ってきたがんの増大スピードを調べるには、通常は数カ月の観察が必要になる。このため数カ月の間隔をあけて、超音波検査をしたり、CTで病巣の大きさの推移を計測して、がんの増大スピードを測る。となると、少なくとも3カ月以上の間隔をとって、がんの増大スピードを調べる作業が必要になる。こうした作業を経ないで下された余命判断は、全くあてにならないことになる。