会議では「バリュー(価値)」を出す
会議でひと言も発しなかった経験はあるだろうか。会議で「発言」しないのは「欠席」と同じ。会議への出席者には発言の権利ではなく、発言の義務が課されているのが世界基準である。
「会議には、出席者に何らかの貢献が求められる。例外を除けば、発言することが会議への貢献になる」
例外とは、議事録を取る、お茶を出す、コピーを配るなどで、これらも会議への特別な貢献のひとつである。
「発言のない出席者は、存在意義すらないも同然。マッキンゼーでは、大学を卒業したての新人にも会議での発言を強く求めます」
「バリュー(価値)を出せ」が上司の口グセだったと戸塚さんは振り返る。バリューとはまさに「発言」であり、さらに課題に対して建設的な意見のことだと、日々のミーティングで厳しく教育されたという。
「存在感を示すコツは2つ。会議の準備と、自分なりの貢献を考えること。わからないならわからないなりに新鮮な意見を投じてもいい。リスクを恐れ、発言しないよりは一歩前進できるはず」
毎回の発言に自信がなければ、ホワイトボードの前に座るのも有効だと戸塚さんは言う。
「ボードでの仕切り役を買って出てもいい。ホワイトボードにまとめることで、会議参加者の意識が100%そこに集中し、進行に大いに役立つから」
仕切り役は、自分の意見を押し付けず、聞き役に徹する。意見が出やすいように適切な質問を投げかける。そして、意見の本質を捉え、視覚的にまとめ上げることが求められる。この力は、日頃のノートの取り方を工夫することで養える。相手の意見のポイントを捉え、どうまとめるかを日々訓練することが重要だ。
「意見が言えなければ、質問でもいい。ボードでの仕切り役に自信が持てれば、会議への貢献度がグンと高まる」
慶應義塾大学卒業後、ゴールドマン入社。5年間勤務後、ハーバード経営大学院に私費留学。帰国後、マッキンゼーへ。2007年、シーネクスト・パートナーズを設立、代表取締役に就任。英語プログラム「CLUB900」(www.club900.jp)を主宰。