2013年4月発売の「ヘルシアコーヒー」が、好調な売れ行きを見せている。

コーヒーの市場は世界的にも大きい。その市場で新商品を売り出すには商品の効能を認知してもらうだけでなく、長く愛飲すべき商品であることを伝えなくてはいけない。企画開発担当の近藤めぐみさんは、「ヘルシアコーヒー」の企画段階から特定保健用食品の申請、記者発表までと長い間この商品に携わってきた。いよいよ記者発表という段になり、今までの膨大なデータや資料を前に、まず取り組んだのが商品のストーリーづくりだったという。

特定保健用食品の認定を受けたことで、健康志向が高まる世の中の流れにはマッチした。では、その健康機能がどう作用するのか、根拠が消費者によりわかりやすく伝わる資料をつくる必要がある。そこで近藤さんは、「花王の世界初となる2つの発見」を軸としたストーリーとした。

1つ目の発見は、コーヒーに含まれるコーヒークロロゲン酸(ポリフェノール)に体脂肪を燃焼させ、体脂肪を低減させる作用があること。もう1つは、コーヒー豆の焙煎時につくられる酸化成分を低減させると、コーヒークロロゲン酸の機能がより発揮されやすくなる、ということだ。「多くのデータの中で、この2つに関する数字を選び、それを強調する資料としました」(ヒューマンヘルスケア事業ユニット フード&ビバレッジ事業グループ ビバレッジグループ 近藤めぐみさん)。

科学的な研究をしてきた商品なので、裏付けとなるデータはたくさん持っている。しかし難しいデータや科学的成分を並べてもわかりにくくなっては意味がない。シロウトが見てもわかる資料として気をつけたのが「文字を極力少なくする」ことだ。

例えば、体脂肪を低減させるためには継続が重要なのだが、その部分が目立つよう、体脂肪の減った人数とそのパーセンテージを示す。割合を見せることで、多くの人に効果があったことを実感できるようにした。

図表を拡大
・色と数字の見せ方に工夫 
・記憶に残る数字を選択

そのほか、プレゼン資料はそのまま宣伝にも使われることを意識。「同じ数字でも2%より50分の1のほうがわかりやすい、など語呂にも気をつけました」(近藤さん)。

色や記号の使い方にもポイントがある。花王では重要な数字、増加した数字は赤、さほど重要でない数字、減少した数字は青で表示するということがルール化されている。増減を表す数字には、矢印を添えて強調している点も特徴的だ。

商品のイメージカラーも全体に取り入れている。ヘルシアコーヒーは茶、ヘルシア緑茶なら緑。色に意味を持たせることで、より見終えた人の印象に残る資料となる。