面談時間が押す医師は面倒見がいい
医師とのコミュニケーションは、通常の外来の診察のほかに、面談の時間を設けてする場合もある。天野氏によれば「多い場合は、1人のドクターが数百人の患者を受け持っている」こともあり、外来では「3時間待ちの3分間診療」といった事態もしばしば発生する。そこで、がん治療の選択など、重要な案件は別時間を予約することになるのだが、命を預けていい医師ほど「予定通りに面談が始まらない」傾向があるという。
「時間にルーズなだけの医師は別にして、時間が後ろへずれてしまうのは、むしろ患者との会話を重視している証しと言えると思います。私は今も定期的に医師と面談しますが、予約は午後2時なのに始まるのが午後5時なんていうことも珍しくありません。仕事への影響も大きいのですが、そうした日は午後のスケジュールを全部あけるようにしています」
一方、コミュニケーション力以外で、信用できる医師の条件とは何だろうか。
当然のことながら、セカンド・オピニオンを申し出たときに嫌な顔をせず了解する、診察や面談時に患者がメモを取ることを認める(可能ならばICレコーダーなどでの録音などを許可する)といったことは命を託す医師選びの前提条件だ。
そうした「基本」に加えて、天野氏が挙げるのが「1人で抱え込まない医師」だ。医師とて、スーパーマンではない。だが、過去に手がけた手術症例数が乏しい患者に出くわしても無理をして引き受けてしまう医師は少なくないのだ。
「正直に、『経験が少ないので、他の病院をご紹介します』と言えばいいのに言わない。ドクター独特のメンツやプライドなのかもしれませんが、患者にとっては命に関わることで、その後、治療がスムーズにいかないのは明らか。こうした例はとくに地方の大学病院に見られます」
「限界」を知っている(認める)医師や病院は逆に信頼できるということなのだ。