治療費は3割負担の人で約4万5000円

ストリッピング手術や従来型のレーザー治療の欠点を克服したのが1470nmレーザーと高周波治療で、どちらも局所麻酔、日帰りで受けられ、体への負担や痛みは格段に少ないという。従来型のレーザーでは施術後1~2週間は痛みがあり、約5割に皮下出血がみられたが新しいレーザーと高周波では皮下出血の発生率が2~7%とされる。それでいて効果は、従来型の治療に勝るとも劣らない。治療費は、検査料などは除き、3割負担の人で約4万5000円だ。

なお、1470nmレーザーと高周波治療の効果と痛み、合併症の発生率はほぼ同じとみられている。どちらを導入しているかは医療機関によって異なり、両方導入しているところもあれば片方だけのところもあるのが実情だ。

10年くらい前、父が下肢静脈瘤の手術を受けたが、術後、麻酔から覚めてからかなり痛かったようで「2度と受けたくない」と言っていた。そもそも、エコノミー症候群を引き起こす動脈の病気とは違い、下肢静脈瘤はほとんど命に関わらない。見た目が気になったり、かゆみや痛みが出たりして手術やレーザー治療を検討するのに、その治療自体が痛かったり皮下出血してしばらくあとが残るのではたまらない。

下肢静脈瘤は加齢とともに増えるが、立ち仕事をしている人や妊娠・出産後の女性にも起きやすい。家族に下肢静脈瘤がある人もなりやすい傾向がある。それほどひどくない人は、足に適度な圧力を加えて静脈に血液がたまらないようにする医療用弾性ストッキングで対処する方法もある。ガードルなど下着で締め付けるのは逆効果なので要注意だ。

1470nmレーザー、高周波治療は、所定の研修を受けた医師のいる医療機関でのみ実施が認められている。実施医療機関は、日本静脈学会、日本血管外科学会など関連6学会が結成した下肢静脈瘤血管内焼灼術実施・管理委員会のホームページに掲載されている(http://www.jevlt.org/ja/application/beadroll.html)。

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