ただ、公開データからビジネスの具体的なヒントを得ようとするなら、自社のデータと紐づけることが重要です。たとえば地域別の家計データも、自社の顧客の住所データと組み合わせてはじめて役に立つ分析ができます。

公開データのみの資料では、せいぜい全体の傾向や雰囲気を伝えることくらいしかできません。自社の個別の課題解決につなげたければ、やはり自社データとの紐づけが欠かせないのです。

分析結果の見せ方には注意が必要です。理系の人は「この数字はこうでした」という説明に終始しがちですが、これでは伝わりません。大切なのは数字「を」語ることではなく、数字「で」語ること。つまりビジネスの目的を達成するために数字を使うだけであって、数字そのものを理解させることにこだわる必要はないのです。

資料に使う数字も、相手が吸収できる情報量に合わせて選ぶことで説得力が増します。相手が3つのデータまでしか数字を把握できなければ、100も200もデータを見せても伝わりません。資料として見せるのは、結論を示す3つに絞り、あとは必要に応じて出していくというスタンスでいいと思います。

大場氏推奨“Google Public Data”とは?

●公共データから必要なデータを見つけ出し、簡単にグラフ化できる。
●グラフはリンクでの共有、サイトへの埋め込みが可能。
●データは自動更新。
●グラフを時系列でアニメーションにできる。

[主な上位トピック]
学校の比較/人口/給与/犯罪統計/災害統計/姓/原油価格/消費者物価指数、インフレ率/生活費/最初の名前/失業率/売上税/為替レート/保険統計(健康状態)/GDP/貧困/最低賃金/死亡率
※日本語化されているのはごく一部。

アイズファクトリー 社長、理学博士 大場智康
埼玉県生まれ。98年東京工業大学大学院理工学研究科博士課程修了(物理学)。2000年アイズファクトリー設立。05年社長。主業務はデータマイニング・数理科学・統計学等を用いたデータ解析・リポート作成。これまでにメーカーなど十数社の立ち上げに関わった。
(村上 敬=文・構成 長谷川博一=撮影)
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