住宅取得のリスクは金額が大きいことではない。ローンを返済し続けるだけでは何も生まない負債であることがリスクなのだ。マイホームが収益を生めば、ローン返済のリスクは大幅に軽減でき、自宅は立派な資産となる。
ただし、収益マイホームを建てるにしても、いくつか留意しなければならないことがある。ひとつは、収益マイホームの目的は、あくまでもローンの返済分を賄うことなので、生活の収入をこれに頼ろうとしないことだ。
次に、完成品の建て売りを買うのとは違い、自分で土地の取得から始める必要がある。施工業者等ともやりとりしなければならないので、不動産取引や建築に関する基本的な知識が求められる。
また、賃貸の借り手がいなければ安定した収入が得られないため、借り手の多い都市部でなければ収益マイホームは成り立たない。周辺の賃貸物件の空き室率が10%以下で、家賃を5万円以上に設定できる場所を選ぶことがポイントだ。首都圏では、東京23区内とその周辺、神奈川県の川崎・横浜エリア、埼玉県と千葉県の東京都寄りのエリアならば、収益マイホームに適した土地が探せるだろう。
生涯支出に占める住宅のコストは3割とも4割ともいわれる。それをただ吐き出すか、何かで肩代わりさせるかで、生活は大きく変わる。たとえば、3000万円のマイホームを買って35年のローンを組んだとすると、金利を含めた返済総額は4000万円を超えるが、収益マイホームならばその分を生活に充てられる。そのメリットは計り知れない。
住宅は買うのが得か、借りるのが得かという議論が相変わらずあるが、もうひとつの選択肢として収益マイホームを検討してみてはいかがだろう。
(高橋盛男=構成 ライヴ・アート=図版作成)