現在「EXEパート」に登録しているのは、約70人。なかには、取締役を経験した女性やMBAの保有者もいる。
「問題は」と金子さんは続ける。「家庭の事情と企業の要望とのマッチングが難しいこと。曜日や時間帯、最寄り駅など様々な条件が合わないと主婦は働くことができません。その一方、企業は画一的な条件で人材を募集する傾向が強いんです。そのため、こちらから企業側に『逆提案』をします。『勤務日は週4日までですが、高度な専門スキルがあります』などと、一人ひとりの能力に合わせて条件をすり合わせていくわけです」
田中さんは「EXEパート」を通して、12年9月からIT製品の比較サイト「ITトレンド」などを運営するイノベーションの契約社員となった。現在は電話でのカスタマーサポートを担当する。
当初、イノベーションが求めていたのはフルタイムで働ける人材。しかしITの専門知識だけではなく、コミュニケーションスキルを持つ人材はいなかった。「EXEパート」の提案で田中さんの採用に踏み切った。
現在、田中さんは平日の週3回、9時半から17時半まで出社している。残りの2日は、2時間の在宅勤務で担当企業の対応にあたる。イノベーションに在宅勤務の仕組みはなかったが、田中さんの要望で新設したという。年収は、200万円ほどだ。
「お金をどうしようという不安が少なくなって余裕ができました。夫や同僚の協力もあり、仕事をしながら子どもと一緒に過ごす時間も大切にできる。ただ、いまはお客さまからの問い合わせに回答するケースがほとんど。将来、週5日働けるようになったら、前の会社でやっていた内勤営業ができないか提案したいと考えているんです」