細田さんは「1日1万円」という売り上げ目標を掲げて、「レコード店主」業に本腰を入れることを決意する。

洋楽のレコードを出品している人は無数に存在する。細田さんは注目度を上げるために、原価割れリスクもある「全品100円スタート」を継続。リピーターや同日に複数買ってくれた客は100円引き、商品を発送する際は、顧客と自分の名前を手書きで入れたサンキューレターを同封するなどの工夫をこらした。

翌年の09年には1日1万円の目標を達成して年商365万円。そして、10年は週に10万円の目標も超えて500万円に達した。利益率は約3割だ。単純計算で150万円の副収入となる。

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・納税時、損益通算できる所得とできない所得
・副収入の種類による違い

細田さんの生活防衛術は手取り収入のアップに留まらない。レコード販売業の事業経費を申告することによって、サラリーマンとしての給料から源泉徴収されていた所得税数十万円の全額還付に成功したのだ。

「これは脱税ではなく節税です。実際に副業を自宅で行っているのですから、自宅の水道光熱費や車の費用の一部を計上するのは当然。いままで遊興費だったオーディオ装置や楽器、コンサートのチケット代に至るまで、すべてが必要経費です。つまり、副業の収益がトントンであっても、所得税と住民税を大幅に節税することができます」

副業を利用して節税を試みると、会社にも副業している事実が明らかになる。後ろ指は差されたくない。

「就業規則を読み、上長の承認を得れば副業を行ってもいいと判断しました。実際、残業代のカット分を補うためにコンビニや代行運転のアルバイトをしている同僚も多く、兼業農家の社員も在籍しています。私は工場長に事情を話し、副業で得た収入を確定申告する旨を伝えて快諾を得ました」

細田さんは会社の仕事に悪影響を出さないことを最低条件としている。副業によって「主業」を失っては本末転倒だからだ。