「中国語会話」は早々に撤退
スカイプというサービスに出会ったのは2005年頃。戦略コンサルに就職を決めて、大学の単位もほとんどとりつくして、学生時代の最後の1年間で海外を旅行で回っていたときでした。海外に行くと、国際電話をかけるためのショップみたいなのが、その当時はあったんです。ある時、ほかの電話ショップに比べて料金が10分の1とか20分の1のお店を発見しました。なんでそんなに安くできているのかというと、電話回線の代わりにインターネット通話ソフトである「Skype」を使っていたお店だったんです。
Skypeはその頃日本ではほとんど知られていませんでしたが、相手が目の前にいるように話せて、しかも無料で使うこともできるからこれは広がるだろうな、と思いました。そして、このサービスが実際に広まったときには、その周辺に事業が生まれるに違いない、と。
僕が実際に初めてつくってみたのは英語ではなく、中国語会話をスカイプで学べるサービスでした。戦略コンサルで2年以上働いている間、ずっといつかは起業をしたいと考えていました。それでちょうどこの頃、中高時代からの友達でNTTドコモの研究室で働いていた中村(現COO)に声をかけて、試しにやってみることにしたんです。ちなみに中高は開成です。中村のほうが全然優秀でしたけど(笑)。
当然、2人とも会社員なので、土日に白山にあった僕のアパートで会うか、仕事が終わった後に深夜までそれこそスカイプで打ち合わせを続けました。これは今もそうですが、僕がアイデアをいっぱい出して、彼が客観的に「うーん」とそれについて考えるという役割分担。
ただ、中国語というのはその当時需要が低くて、まったく利用者が集まらなかったんですよ。で、あまりにうまくいかないので、今度は英語でやってみようということになったわけです。英語だったらやるよ、と言ってくれた知人も何人かいたものですから。
当時はオンライン英会話のサービスはすでに数十社ありました。でも、スカイプを利用したものはまだ一部でしたし、使い勝手もまだまだ途上にあったので、戦える余地は十分にありそうに見えました。
フィリピン人の講師を探しに現地に1人で行った時のことは、今でもよく覚えています。まずはフィリピン大学に行ってみて、学生課で許可を取って募集ビラを掲示板に張り付けましてね。向こうでいろんな人に話を聞くと、人探しならまずはそうしてみろと言われたので。
鋏で切り込みを入れ、もぎりやすいようにしてそのビラを貼ったんです。学生のサークル勧誘と一緒ですね。そうしたら数人から応募があって、その中の1人の女性と会うことができたんです。いろいろ話している中で信頼できると感じたので、その子に1カ月分の給料を渡して、現地での講師集めに協力して欲しい、ビジネスパートナーになって欲しい、と頼んだんです。子供の頃に遊んだドラゴンクエストと同じで、新しい町に行っていろんな人に話を聞いていくと道が開ける。あれとまったく同じことをリアルでやっていた感じでした。