野菜を食べない家は年収が低い──そんな衝撃的なデータが公表されている。背景にはいったい何があるのだろうか? 経済評論家の勝間和代氏がデータの背景を読み解く。

低収入世帯ほど野菜不足であるということが厚生労働省の「国民健康・栄養調査」で明らかになりました。一口に野菜といっても根菜か葉もの野菜かで摂取できる栄養素が異なるので、重量だけでは判断できません。いずれにしろ、生鮮食品を食べている層のほうが、健康に対する意識が高いのは確かです。

経済評論家 勝間和代氏

カロリーの単価として考えると炭水化物が一番安価で、一方最も高価なのが野菜です。しかしカロリー単価だけではなく、大切なのは栄養単価で見ること。たとえば100グラムのホウレンソウが150円とすると、150円で手に入るホウレンソウの栄養価と150円のおにぎり一つで手に入る栄養価だと、100グラムのホウレンソウが圧倒的に優れています。

こういった知識を、頭で理解しているかどうかが重要なのです。健康に対する知識を持つと、正しい食事で生き生きと生活することができるので、病気にもなりにくくなる。その結果、生産性も向上し、医療費も削減することができる、自ずから、お金もうけの機会も増えます。実際、毎日菓子パンとかおにぎりですませていると、思考能力も低下し、少し動いただけでも疲れてしまいます。

私は生活習慣病になるのも、がんになるのも嫌です。生活習慣病になることなく、健康で長生きできる体を手に入れるために出した結論が野菜を食べることなんです。それもビタミンやミネラルなどの微量栄養素に優れた野菜。さらに大根の葉っぱやにんじんやりんごの皮など、栄養素が多く含まれている部分もすべて食べること。

ところが野菜は高いだけではなく手間もかかるので面倒だ、という声をよく耳にします。しかし、これも正しい知識があれば手間がほとんどかからないということがわかると思います。たとえば大豆にしても、圧力鍋を使えば簡単に煮えます。缶詰を買うより安くおいしく仕上がります。

私はこの圧力鍋やスチームオーブンなど、温度と時間をセットすれば、そのまま放っておける調理器具を揃えています。理想はレンジ台と鍋を使わない調理。火加減いらずで自動プログラムを使ったほうが、ほとんどの家庭料理は楽においしく調理することができます。コンビニに買いに行くよりよほど簡単。工夫次第で加工食品や外食よりも、はるかに体に良くておいしい食事を摂取することができるのです。

また知識があれば、高いレストランに行かなくても、たとえばファミリーレストランや居酒屋でも栄養コストの高い食事が可能になります。ファミリーレストランは意外に野菜が多い。私は野菜料理をたくさんオーダーして、ドレッシングをかけずに自由に使える塩やオリーブオイルで調味するのですが、1000円バイキングでも素材を使って、自分で料理をするんです。たとえばおかゆ用に置いてあるごま塩をサラダにかけたり、煮物の野菜をサラダに加えたり、考え方次第でいくらでも質の高い食事ができるのです。