[10] 相手の価値と重要性を非言語によるメッセージで再確認する

従業員のパフォーマンスを批判するときでも、同時に本人との関係の重要性を伝えられれば、と思う上司は多いことだろう。相手を批判する気まずさの中でも、よい人間関係を崩さないようにするには、親しみを持って部下に接し、相手のボディーランゲージに注意しながら(ミラーリング)、話をすると効果的である。

[11] 間接的に伝えられる情報は、重要度の低いものに限る

重要な情報は、直接本人に伝える必要がある。それほど重要でない事柄は、電話やメールで十分である。重要な情報を後者のようなチャンネルを使って伝えるという愚を犯してはならない。

[12] 「聞き手の言葉」で話す

大半のメッセージは平易な言葉で完璧に伝わるが、企業のCEOは「コンサルタント」調で話しがちである。経営学修士号を取得していない人は、「持続可能な競争優位」などという表現にたじろぐ。また、「株主価値」など、不毛な言葉の使用は避けること。株主価値を気にするのは、株主だけであることを忘れないように。

[13] 情報を語るのではなく、ストーリーを売り込む

効果的なコミュニケーションをしたければ、まず、もっとも重要な3点を決めておき、それぞれを一文で伝えられるように練習をしてみよう。次に、メッセージの背後のストーリーを決める。さらに聴衆にどのように感情面から訴えていくのか自問してみよう。聞き手は、初めて聞く話の中では、何が重要なのかを見極めるのに苦労する。それを伝えられるのは裏に秘められたストーリーであるが、話す本人がまずそれを理解していなくてはならない。

真に説得力のある言葉をつくり出すのは至難の業ではあるが、言葉ほど意思伝達に効果的なツールはない。コミュニケーションは、時間をかけて聴衆が誰か、何に興味を持っているかをリサーチすることから生まれる。聞き手にもっとも受け入れられやすいタイミングを把握し、聞き手の関心事とアイデンティティーにそれを結びつけながら、自分の口から力強くメッセージを伝えることができれば、数少ない言葉で、世界を変革することができるであろう。

(翻訳=ディプロマット)