「人が交わる」ことで新しい価値が生まれる。職場空間を改革した4社のオフィスを見学してみた。

 部長間の会話が4倍に増えたのはなぜ?

次に訪れたのは、オフィス空間を総合的にプロデュースするコクヨファニチャーの霞が関ライブオフィス。ここは実際に仕事をしながら、オフィスの実証実験を行っているのだが、広いフロアには部門間の仕切りがない。

「計算だけとかの作業であれば、区切られていたほうが集中しやすいでしょう。でも、作業を積み重ねる仕事でお金を生み出すのは難しい時代です。誰かと誰かの知恵をかけ合わせて新しいものを生み出そうとすると、当然、人の接点が必要になります。そこで、まず個人を隔てる壁をなくす。次に、蓄えられた財産をほかの部門でも活かすために部門の壁をなくす。そして経営者が向いている方向を明確にするように現場との壁をなくす。この3つの階層の壁を取り払う必要があるので、現在、オフィスはオープン化の流れにあります」(スペースソリューション本部/鈴木賢一さん)

面白いのは役員と部長の席だ。部長といえば窓を背にどんと構えているイメージだが、ここでは役員&部長用がシェアフラットと呼ばれるスペースに集まって仕事をしている。役員会議を行う会議室もガラス張りだ。

「効果測定の結果、部門長間の会話は4倍に増え、約78%が連絡・報告がしやすくなった、約66%が経営の意思が見えやすくなったという数字が出ています」(同)

■フラットな空間で部門を超え、組織を融合させる
チームの輪はより深く、外部の広い縁ともつながる「深輪広縁」(しんりんこうえん)がこのオフィスのキーワード。外出中の人や他の事業所とはスマートデバイスを活用したTV会議で。「サウンド・マスキングシステム」という特殊な環境で、近くの会話が漏れにくくなっているほか、天板が振動するスピーカーなど最新テクノロジーも整備され、働く人の生産性を上げている。
(岩田亘平=撮影)
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