3.愚痴だけ聞いてやる。親から相談を持ちかける。

アドバイスはいらないけれど愚痴を聞いてほしいと、思春期の子供は思っています。学校は友達や先生との関係、勉強……と、悩みの種であふれている。解決策が欲しいわけではないけれど、話は聞いてほしいのです。子供が愚痴を言うと、親は「こうしたらどう?」「あなたがこうだからじゃない?」とアドバイスしたくなりますが、子供はそういう言葉は求めていません。友達のことで愚痴を言ったら「そうかぁ、そういう友達がいるんだ。大変だね」がいいのです。

大人になりかけの子供ですから、一人前に扱ってやるとすごく喜びます。私は自分の仕事の相談をすることがあります。「今度こういう本を書こうと思うんだけど、どう思う?」と。子供たちは真剣になってアイデアを出してくれます。

子供の趣味を教わるのもいいです。たとえばゲームのやり方を子供が先生役になり大人が教えてもらう。子供たちは得意な分野を人に教えるのが大好きです。私がゲームを教えてもらってうまくなると、自分のことのようにとても喜んでくれます。

4.人やモノなど本物に会わせる

将来のことを考えてもらいたいなら、言葉で伝えるよりもいい方法があります。それは本物に会わせることです。私はご両親によく「本物に会わせてください」と言います。「今、勉強しないとあとで大変なのよ」と言葉で危機感をあおるよりも、効果的です。

教え子にサッカーが大好きな中学生の男の子がいました。「本物を見るといい」という話をすると、そのご両親は思い切ってマンチェスターユナイテッドの試合を見に、家族旅行でイギリスに行ったのです。香川真司選手の活躍や地元の人も誇りにする日の丸を見た彼は、「将来イギリスに留学する。だから絶対に大学に行く」と言いだし、自発的に英会話を習い始めました。感動した経験から、彼に将来の目標ができたのです。

ほかにも、高校に行きたくないと言っていた子が、お父さんに連れられて高校見学に行ったことから、その学校に魅了され、勉強を頑張って合格した例もあります。彼の成績ではかなり勉強しなくてはいけない高いレベルの高校だったのですが、憧れの学校を見つけたことで、モチベーションがものすごく上がり、合格したのです。

小学生でも本物に会わせる価値は十分にあります。スポーツ、アニメ、科学……その子が興味ある方向での本物、その道のプロに会わせるということは、親だからこそできるサポートではないでしょうか。

大塚隆司
1969年生まれ。個別指導塾に10年以上勤務し、1000組以上の親子関係をサポートしてきた。現在は講演活動やコーチング、カウンセリングを活用した家庭教師を行っている。『マンガでわかる!思春期の子をやる気にさせる親のひと言』『思春期の子と心の距離を感じたときにできる大切なこと』などシリーズが人気を呼び、累計10万部を超える。
(大塚隆司=教える人 鈴木理絵=構成)
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