子供の返事がそっけなくなった。買い物に誘っても来なくなった……。成長の証しとわかってはいるものの、どう付き合っていけばいいか。百戦錬磨の塾講師が、難しい時期の子供との距離感と接し方をアドバイス。
親にとって“どうでもいい話”こそ、子供は求めているんです。((c)Doable/orion /amanaimages=写真)

親と距離をとりたがる思春期も、24時間365日話したくないわけではありません。話したくないときもあれば、話したいときもあるのが思春期。そんな思春期の子供に対する私のスタンスは、「来る者は拒まず、去る者は追わず」です。子供がこっちに来たら「よく来たね」と、向こうに行くなら「いってらっしゃい」と、接することにしています。子供がどんな態度をとっても、こちらがいつも「普通に」穏やかに接することは、ぶれている子を安心させる力があります(こちらとしては「普通にしよう」と考えている段階ですでに、普通の状態ではないのですが)。

でも、なにより私は、お母さんにいつも笑顔でいてほしいと思います。それだけで子供は安心して元気になって、良いほうに変わっていくのです。だから、お父さんには、お母さんが笑顔でいられるようにサポートしてほしいと思います。

心の距離を少しでも縮めるためにできること

1.たとえ子供からの返事がなくても、毎日、挨拶する

思春期になって親を無視したり、何か聞いても「別に」「うん」とかしか話さないタイプの子供がいます。親として子供が話をしてくれないのは不安になるでしょう。そんな子供の言葉数を増やす方法があるとしたら、たとえ返事がなくても、親は毎日「おはよう」と声をかけ続けることです。

中高生の時に親との関係が良好だった大学生に話を聞いてみると「親を避けていても、ずっと話しかけてくれたから、話したくなったときに話せた」という子が何人もいました。親の挨拶を無視することもあるけれど、たまには話したいときもあるのです。話したいときに話せるような環境をつくっているといいです。