「第一の矢だけですでに十分」
政権は変われど、経済政策の主役は経済官僚。方針変更は即、公に間違いを認めることだけに、まず期待はできない。こうしてさしたる批判・検証もされぬまま“無駄”が繰り返されてきた、ということだろうか。
デフレ克服について、過去の政策と世界的な供給(生産)力過剰を問題視する点では武者・水野両氏はほぼ同じだが、「中国も含め、先進国は過剰な生産力を積み上げてきた。20年には中国も、さらに世界中がデフレになっているのでは」と言う水野氏に対し、「生活水準を上げれば、新しい需要は際限なく生まれる」とする武者氏は、「第一の矢=異次元緩和で十分。デフレは金融政策によって脱却可能」と主張する。
「第一の矢ですでに好循環は起こっている。日本は過去20年、流通をはじめ規制・制度改革を見事に進めている。改革が進んでいないからダメ、というのは問題の取り違え。第三の矢が不可欠と主張するのは、『金融政策だけではデフレ脱却は無理』という考え方が間違いだったと認めたくない人だ」(武者氏)
経済成長を期待する投資家目線の武者・窪田両氏と、成長ではなく経済全体の成熟を志向する水野氏とでは、日経平均に与える意味合いは異なり、二択での決着はつけ難い。が、この一指標の上げ下げに一喜一憂する状況は今後も変わるまい。