円安、ビザ緩和を追い風に1000万人を突破。外国人が「期待以上」だった活動は何か。神社仏閣や富士山だけではない、最新人気スポットと誘致のための施策を紹介する。

【期待以上だった活動3位:街歩き】
大田区商店街
――キラーコンテンツゼロ「日本人の日常」でリピーターを誘致

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外国人観光客7000人に聞く!期待以上だった活動トップ10(PIXTA=写真)

東京23区で最も面積が広い大田区。田園調布という高級住宅街を抱えながらも、全体としては町工場や下町という印象が強く、観光地のイメージとはほど遠い。そんな大田区が、内在する観光資源に着目し、外国人誘致に乗り出している。

羽田空港に国際定期便が就航する10年秋を前に、大田区は観光課を設け、11年には蒲田の町が観光庁の指定する外国人旅行客の戦略拠点として認定された。大田区役所観光課長の青木毅氏は言う。

訪日外国人向けに日本の魅力をPRするフリーペーパー「WAttention」。2011年に創刊し現在はシンガポール版、東京版、LA版、台湾版等を発行。

「初めて日本を訪れる外国人旅行者が大田区に来るかといえば無理でしょう(笑)。でも、リピーターなら『別の日本』が見たくなるはず。その点、大田区の町中なら東京の昔ながらの庶民の暮らしぶりには事欠かない。羽田に近く、都心へのアクセスがいいという地の利もあります。政府は東京五輪までに外国人旅行客を13年の倍の2000万人にするといっていますが、2000万人というのは、いま知られていないところをPRして初めて達成できる数字。そこに大田区の出番があります」

13年には「外国人にフレンドリー」な飲食店やホテルなど120の店や施設を認定する「ウェルカムショップ登録制度」もスタートしたが、大田区の一番の魅力は商店街だろう。その数は区内に150。シャッター商店街もあるが、いまだ活況を呈している商店街も多い。シンガポールで発行している訪日観光客促進英字フリーペーパー「WA ttention」と連携し、誌面で大田区を特集して読者の人気を測ったところ、一番反響が高かったのは「糀谷商店街や梅屋敷商店街での食べ歩き」だった。肉屋のコロッケ、惣菜屋の天ぷらや練り物。小さな店が軒を連ねる商店街を練り歩き、素朴な食べ物を買い求めるごく日常的な光景は外国人旅行客開拓の原動力だ。