受験勉強を取り巻く「不」を解消
春休みから本格的に受験勉強を始める高校生も多いだろう。受験勉強というと、予備校に通ったり、分厚い冊子の参考書や問題集を解くといったイメージを抱くが、近年、オンラインで勉強するというスタイルが定着しつつあるという。リクリートマーケティングパートナーズが2011年よりスタートした「受験サプリ」もその一つだ。無料で大学入試過去問をダウンロードできたり、センター試験の模試を受けることができたりするほか、月額980円で実力派の予備校講師の講義をいつでもどこでも受けることができるサービスだ。
「受験サプリ」は2012年7月から本格稼働され、2014年1月には無料会員数が累計100万人を突破。2013年度の受験生で見ると、2人に1人が活用したという。
このようなサービスが、多くの受験生に受け入れられた要因はどこにあったのだろうか。受験サプリの編集長である松尾慎治氏(リクルートマーケティングパートナーズ)は、第一の背景に「所得による教育格差」を挙げる。
「東京大学大学院の調査で、『保護者の所得と子どもの大学進学率に相関性がある』というデータがあります。保護者の所得水準が下がれば下がるほど、大学進学率も下がっていて、これは受験勉強における所得格差、教育格差だと思いました。つまり、経済的に恵まれた環境でないと十分な勉強はできないという現実。受験生自身も、それを感じているのではないかと推測しました」
このようなきっかけから受験生に独自調査を行うと、受験生のおよそ7割が塾・予備校に通っておらず、通うことができない理由を聞くと、約半数が家庭の経済事情を挙げたという。これは保護者の所得格差が、受験生の学習環境に大きな影響を与えていることの証明だった。
「それまでは『学習環境』ではなく、『個人の頑張り』が受験勉強のすべてだと捉えていました。しかしこれらの調査で、見方が変わってきました。塾に行くにも年間50万円ほどかかります。サラリーマンの平均年収が400万円であることを考えれば、確かに厳しいですよね。所得格差により生まれる学習環境の違いはかなり大きく、社会課題といえるでしょう。受験生も、やはりそれを実感していたのだと思います」(松尾氏)
所得による受験生の格差解消を目的に作られた受験サプリ。塾・予備校と比べ、大幅に低価格であるこのコンテンツが普及したのは、それだけ受験生自身が「格差」に悩んでいたからだと考えてよいだろう。