「10月10日からの連休中に旅行に行く予定だったのですが、タイムズのカーシェアで運転免許証画像情報が漏れたというニュースを見て、慌てて別のカーシェアに登録しました。その後、旅行予約に使っていたスカイチケットから『お客様の情報が外部に流出したことが判明いたしました』というメールが届き、暗澹(あんたん)たる気持ちになりました」
そう話すのは、都内に住む男性だ。自分の情報が悪用されるのではないかと不安になったという。
この秋以降、カーシェアリングサービス「タイムズカー」や焼き肉チェーン「焼肉きんぐ」などでの大規模な個人情報の流出が、相次いで公表されている。
さらに、男性が登録していた旅行サイト「スカイチケット」を運営するアドベンチャーは10月16日、すでに発表していた個人情報の流出について、一部利用者のクレジットカード情報も流出していたことを明らかにした。
「近年は大規模な情報漏洩(ろうえい)が相次いでおり、氏名やメールアドレスなどの情報が流出するケースは珍しくありません。もちろん情報漏洩は深刻な問題ですが、『今さら』という受け止め方をする人もいるでしょう」
そう話すのは、サイバーセキュリティーの専門家で、EGセキュアソリューションズ株式会社の取締役CTO・徳丸浩さんだ。
では、今回のように運転免許証の画像まで流出した場合、どのような危険があるのだろうか。裏社会の事情に詳しい元暴力団関係者のAさんは、こう話す。
「運転免許証には住所などの情報も記載されているため、犯罪者が関心を持つ情報の一つではあるでしょう」
流出した身分証明書を使い、本人になりすまして契約を申し込むことも考えられるという。
「例えば、他人の運転免許証を使って、カーシェアやレンタカーなどの契約を申し込むことは考えられます。サービスによっては、なりすましに悪用される可能性もある」
ほかにも、消費者金融での借り入れや、不動産の賃貸契約などに悪用されるおそれがあるという。
ただし、運転免許証の画像だけで、こうした契約が成立するとは限らない。実際に悪用できるかどうかは、事業者の本人確認や審査方法によって異なる。
不安につけ込む詐欺
一方、徳丸さんは、運転免許証の画像流出について、過度に不安をあおるべきではないと指摘する。
「現在はAIによって偽の画像を作ることが非常に容易になっています。そのため、本物の免許証の画像が流出したからといって、なりすましによる悪用が急激に増えるのかという点については、私はやや否定的に見ています。また、偽造された画像で本人確認を突破できるとは限りません。多くのサービスでは、身分証明書の画像だけでなく、本人の顔を撮影して照合する『eKYC』と呼ばれるオンライン本人確認の仕組みも利用されているからです」
警戒すべきは、情報流出に対する利用者の不安につけ込む詐欺だ。

