自民党の簗(やな)和生農林水産相(比例北関東)が、2月の衆院選で自身を支持しなかった栃木県内の二つの自治体について、「道路予算を大幅にカットした」と発言していた問題で、釈明に追われている。国会で野党の追及が続くなか、対象自治体の一つ、那須烏山市を記者が歩いた。かつて簗氏を支えた元県議らからは「秘書が20人も入れ替わった」など人間性をうかがわせるエピソードのほか、問題発覚直前の9月にも「同じような発言をしていた」と証言する政界関係者も現れた。
問題になっているのは、国土交通省の社会資本整備総合交付金のうち道路関連の配分。簗氏が今年5月24日、自民党大田原支部の会合後の懇親会で、選挙区(栃木3区)内の得票率が対立候補よりも低かった那須烏山市と那珂川町について「大幅にカットした」などと発言。これを「デイリー新潮」と「週刊文春電子版」が報道し、音声も公開された。
実際に那須烏山市への交付金の予算額は昨年度の約6535万円から今年度は約2427万円で約63%減、那珂川町も約4934万円から約2262万円で約54%減だった。簗氏が発言で触れた減少幅と近かったことから「選挙の嫌がらせ」「恫喝」などといった批判が噴出した。
簗氏は10月5日、「極めて不適切だった」と発言を撤回して謝罪。一方で「担当省庁(国交省)に予算削減の働きかけをした事実はない」と釈明し、大臣辞任も否定した。8日の参院代表質問では「事実と異なる発言をした」と答弁した。つい浮かれてホラを吹きました――ということらしい。
一方、国交省は6日、調査結果を公表。簗氏から今年2月中旬ごろ、両市町の予算配分について問い合わせがあったことは認めつつ、減額を要請する働きかけや圧力は「なかったと思う」と説明した。だが、自民党幹部からは批判の声は小さくない。萩生田光一幹事長代行は「おごりであって決して許されるものではない」と突き放した。

